国際活動をなぜ行うのですか?
経済のグローバル化が進展するなか、経済発展の果実を得る企業・人がいる一方で、世界人口の1/10にあたる7億人以上が1日1.90ドル以下の収入で絶対貧困の状況で暮らしているという現実があります。依然として経済格差があるのが実態です。
バングラデシュの縫製業で働く女性は、朝から晩まで働いて月に8,000タカ(約11,000円)しか稼げません。安全衛生の状態も悪く、工場の火災で亡くなる人も多くいます。
新型コロナ感染流行によって、アジアの多くの労働者が影響を受けました。特にバングラデシュ、カンボジア、ミャンマーなど、先進国に衣料品を大量に輸出している発展途上国では、多国籍企業・国際的ブランドからの発注が激減したため、多くの労働者が解雇されましたが、法律の不備、使用者による法律軽視などのため十分な解雇手当や退職金を得ることが出来ず日々の生計が立てられない人々が多くいます。
また、ミャンマー、香港、アフガニスタンといった国々で民主主義が危機にさらされています。ミャンマーでは、2021年の軍事クーデター以降、市民への弾圧が発生しています。組合役員の逮捕・指名手配が続いており、通常の組合活動は不可能となっています。先進国でも、日本と同様に正規従業員が派遣・パート労働者に置き換えられ、個人事業主扱いのあいまいで不安定な雇用形態も増えています。これらの人達の組織化も遅れています。
このような不公正な現実を改善し、労働条件を向上するのが組合の役割です。ただし、とくに発展途上国では、組合の自由な活動が制限されています。アジアも例外ではありません。多くの国で、海外資本を誘致するために自由貿易地域(FTZ)や輸出加工区(EPZ)が設けられており、これらの地域では組合の活動を行うのは大変困難です。
組合の活動の根本には、連帯、相互扶助があります。それは、国内だけではなく海外の組合にも当てはめなければなりません。また、グローバル化が進んでいるなかで、日本の労働者だけが、高い労働条件を享受するということはできません。バングラデシュや、ミャンマーなど、厳しい労働条件で働いている労働者がいる以上、労働条件は低い方に流れてしまいます。
国際活動をつうじ海外の組合を支援することが、実は日本の私達の労働条件向上につながっているのです。グローバル化が進むなか、国際活動は一層重要性を増してきています。UAゼンセンはアジア各国の労働組合との連帯・連携に力を入れています。
国際活動の根本にある考え方
ILOフィラデルフィア宣言(1944年5月10日)より
- 労働は、商品ではない。
- 表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。
- 一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。