女性トップリーダー インタビュー Vol.1(テキスト)

女性トップリーダー インタビュー(テキスト)

―みなさん、こんにちは。

 UAゼンセン大阪府支部で男女共同参画委員会の委員長をしております、ライフ労働組合の徳永と申します。

 まず、冒頭に大阪北部を震源とする地震に関し、いまなおご苦労をされている組合員の方々に、この場を借りましてお見舞いの言葉とさせていただきます。

 さて、この6月は暗いニュースが多かったと感じています。しかし、本日は労働組合でトップリーダーとして活躍されている女性の方々にお集まり頂き、色々なお話を聴けるとのことで、暗いニュースをふっ飛ばずことができると思います。そのために、明るいそして笑いあるお話を引き出せるように、ファシリテーターを務めたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。

 なお、本日大阪ガス労働組合の株本執行委員長がご参加される予定でしたが、先ほどもお話しした通り、大阪ガスでは現在、ガスの供給に尽力されるとのことで急遽、ご欠席となりました。お手元の資料にメッセージが届いておりますので、ご確認下さい。

 では、早速セミナーを開始したいと思いますが、初めに自己紹介も兼ねて、それぞれの方に組合に関わったきっかけなどをお話いただきたいと思います。よろしくお願いします。


北原

 みなさんこんにちは。

 帝人労働組合大阪支部で支部長をしております、北原と申します。本日はよろしくお願いいたします。私が本日、みなさんにお話をするなかで、「あの人でできるのだから、自分にもできるのではないか」と思ってもらいたいと思います。

 私が組合に関わった経緯ですが、特段熱い想いがあったわけではありません。私はもともと2人の子ども分、3年弱ほどの育休を取得していました。その間に会社で転籍問題などがあり、育休中で情報の少ない中、私は帝人に残るという選択をしました。後で分かったことですが、対象者の中で帝人に残ることを選んだのは私だけでした。その際に、「どこに行かされるか分からないよ」という噂もあり、それを組合に相談したことが最初のきっかけ、組合とのつながりになりました。

 組合に相談した後、無事に帝人大阪本社に復帰した時、当時の支部長に呼ばれました。そこで相談のお礼などを伝えていたのですが、いきなり「執行委員をやってほしい」と打診されました。私は「ぜんぜん自信がありません」と断ったのですが、「断れないよね」の一言で引き受けてしまいました。

 このように流されるまま執行委員になり、いまは支部長も流されるままなっているといった感じです。

 

永島

 みなさん。こんにちは。

 イオンリテールワーカーズユニオンで委員長をしております、永島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 いま、イオンリテールワーカーズユニオンは14万人という組織になりました。そこで委員長をするということは大変大きなことのように思われますが、私は委員長が特別な仕事だという風にはまったく思っていません。

 18年間専従をしておりますが、実は私もそんなに意気込みがあってここまで来たわけではありません。きっと、みなさんも、同じ立場、同じ状況になれば、同じように委員長になると思います。私自身は責任感だけが取り柄で、何かあった時、逃げないでいたらここまできたというように感じています。

 18年前にあったことをすべてお話すると明日になってしまうので、少しだけお話すると、私はもともとニチイという大阪に本社がある会社に入社しました。そして、専従になった時はマイカルの合理化が非常に激しい時期でした。厳しい状況のなかで、仲間と一緒になんとか会社を立ち直らせようと一生懸命活動していたら、あっという間に18年間が過ぎ、いま委員長をしている、といった感じです。


泰中

 みなさん、こんにちは。

 ダスキン労働組合で中央執行副委員長をさせて頂いております、泰中沙織と申します。本日は急遽、部門が同じという理由で、株本さんの代理を務めさせていただくことになりました。

 私はいままで、支部長とか、委員長とか、「副」が取れた仕事をしたことがないので、トップリーダーとは少し違うところもあります。ですが、大阪ガス労働組合の株本さんのように憧れる方々がいて、いま背中を追いかけている、一生懸命なこういう人になりたい、と思いながら日々活動しております。その意味ではみなさんと同じ視点でお話させていただきたいと思います。

 先のお二人と同じく、私も特別な存在ではありませんので、いまそれを先に言われて焦っております。私はどちらかと言えば、おっちょこちょいな方で「しょうがないな」とみんなに助けてもらえ、お世話をいただいて、いま副委員長をさせていただいているようなキャラクターです。専従になり6年になりますが、未だに毎日「分かりません、分かりません、どうしましょう」の連続です。

 本日は少しでも何かみなさんのお役に立てることを言えたらいいなと思い、お話させて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

―ありがとうございました。本日は時間の関係もあり、事前にお三方に聞きたいことを質問として集約しております。また、時間が許す限り、みなさんの関心が高そうなテーマについてこの場で質問を募りますので、ぜひ積極的なご質問をお待ちしております。

 では、早速質問に入りますが、それぞれ支部長、委員長、副委員長になってくれと声がかかり、それに応える形で現在の役割につかれたと思います。その際の心境、プレッシャーのようなものを感じられましたか?


北原

 執行委員をやっていて支部長を頼まれた時、実は私は異動で営業に戻っていたこともあり、多忙を理由に来期は執行委員を断ろうと心に決めていました。  そして、いざ呼びされた時、気を強く持って断るぞ、と勇んで行ったのですが、当時の支部長からはまさかの「支部長をやってほしい」と言われてしまいました。当然、私は色々な理由をつけて断ろうとしました。ですが、男性特有の名言が出てきました。「立場は人をつくる」と。それで少しだけ納得しまして、「家族会議でも開いて考えて来ます」と答えたのですが、「そんなのいる?」と返され、それも納得しまして「それじゃあ、やりましょうかね」と引き受けてしまいました。

 周りを見ると立派な人がいっぱいいて、一方で私は自分の考えとかをあまりしっかり持たないタイプなので、こんな私がリーダーでいいのかなと思いますが、半ばあきらめの気持ちもあり、いまは支部長として活動をしています。

 

―「なった」というより「ならされた」というのは組合ではよく聞く話ではありますが、北原さんのお話を聞いているとしっかりご自身のお考えをお持ちで、それをしっかりと伝えられているので、やはり選ばれる方は何か相手の印象に残る良いものを持っているということが分かりました。

 永島委員長はいかがですか?先ほどのご挨拶のなかでは、「やって」と頼まれたら断らないということをお話されていたので、何か強い考えをお持ちだったのでしょうか?


永島

 委員長になる以前、私は書記長をやっていました。なので、書記長の次は委員長だと思っていたこともあり、断るという選択肢はありませんでした。ですが、私が委員長になりたかったか?と言われると、それは全くなりたいとは思っていませんでした。私は自分で誰かを支えることの方が向いていると思っていたこともあり、書記長が自分の天職だと感じていました。なので、本当はやりたくなかったと思います。

 ただ、私はもともと流通部門の執行委員をしていました。その時には女性枠というものがあったのですが、本人の意思とは関係なく女性枠の入れ替えと言うことで私は退任することになりました。それが悔しくて、一緒に退任することになった女性のみなさんと散々、これはおかしいという話で盛り上がりました。そんなこともあり、最後の執行委員会の挨拶の時に「絶対に委員長になって帰ってきます」と宣言しました。その時の宣言もあり、委員長になって、執行委員に戻るということは誰かがやらなければならない、と思っていたので、委員長をやることにしました。

 

―パートタイマーさんを含めて、組合員がとても多いですが、そのことにプレッシャーなどは感じられますか?


永島

 私はマイカルユニオンでも書記長をしておりましたが、その時は28千人の規模でした。そして、イオンリテールワーカーズユニオンができて、私が書記長になった時に、10万人の組織人員がいたので、自分は10万人組織の書記長になったのだと大きな衝撃を感じました。いま、14万人の組織の委員長をしておりますが、その時より10万人組織の書記長になった際の衝撃の方が大きかったと思います。

 数は力ということもあり、様々なことに責任を負わなければならないというプレッシャーはありますが、それは数の大きさというよりどの委員長も感じる通常の責任のプレッシャーだと思います。

 

―泰中副委員長はご挨拶のなかで、「トップリーダーではない」とおっしゃっていましたが、近畿ブロックの男女共同参画委員会の委員長もお務めになっています。そう意味でUAゼンセンの中での委員長ということで、就任した際に戸惑いなどはありましたか?


泰中

 近畿ブロックの男女共同参画員会で委員長になるというお話を頂いた際には、色々な意味で伝説の、とても優秀で有名な前任の方がいたこともあり、とても戸惑いました。最初は私の所属するダスキン労働組合の委員長に、私にブロック委員長をお願いしたいというお話があり、委員長から「どうする?」と聞かれた時、「無理ですよ」と話していたのですが、いつの間にか引き受けることになりました。

 当時、私は大阪府支部の男女共同参画委員会の委員をしていて、一番頼りない私に任せてくれた事務局の方の期待に応えたいという一心で引き受け、一生懸命活動させていただいているといった感じだと思っています。また、近畿ブロックの委員会のみなさんも、いきなりやってきた私を優しく受け入れて頂いて、私の「こんなことがしたい、あんなことがしたい、これどうですか」という提案にいつも、「分かった。やろう、やろう」と言って本当にやって頂いています。そのようなグループに入れて頂けたこと、受け入れて頂けたことが大きいと感じています。

 

―ありがとうございました。

 組合三役については女性が少ないという現実があると思いますが、そのことについてみなさんはプレッシャーを感じることありますか?


北原

 プレッシャーはあります。「初の女性支部長です」と言われた時、正直、心の奥底では「女性枠として置かれているのなら、多少働きが悪くても許されるのではないか」という甘い考えもありました。ですが、実際はそのようなことはなく、いまもプレッシャーに負けそうになります。


永島

 プレッシャーを感じなくなってしまった、というのが事実です。みなさんのなかでも、いまでも男女平等じゃないということを感じる方は少なくないと思います。ですが、私が専従になった18年前は、この会場はほとんど男性しかいなかったと思います。その時からすると、18年というのは隔世の感があります。こうしてみなさんが活躍されているのがすごいと感じるので、あまり女性だからというプレッシャーは感じなくなりました。


泰中

 私は自分より前に女性の副委員長がいたこともあり、「初」というプレッシャーは感じませんでした。最初に副委員長になる依頼を受けた際に、私は「自分にはまだ早いです」と一旦、断りましたが、その時に「いや、責任をもってやってもらいたい」と言われたことにプレッシャーを感じました。三役としてのプレッシャーは少ないですが、前任者は大変人間ができていたので、私はあの人みたいになれるだろうかというプレッシャーはあります。

 

―ありがとうございます。

 組合役員をやるに当たり、自分の経験になるという風に考える方も多いのではないかと思っています。私自身も初めて組合役員になってと声をかけられた時、なぜ自分なのかと思いましたが、やってみたら楽しいから続けているという経験があります。近畿ブロックでアンケートを実施した際、その結果を見ると組合役員は男性が多いということと、もし声がかからなかったら自分からは手を挙げないという声が多かったです。

 そのアンケート結果を踏まえ、いままで組合役員になる前に身に付けておいた方が良かったと思うスキルなどはありますか?今後、組合に関わっていくなかでやっておいたほうがいいのではないかというアドバイスもあれば、併せてぜひお願いいたします。


泰中

 女性だから、男性だからということではないのですが、単純にもっと法律のことを勉強しておけば良かったと思いました。特に労働法は何の知識もなくきてしまった、と感じました。


永島

 知識を持つことも大切だとは思いますが、一番は人の顔を覚えることだと思います。女性ならではかもしれませんが、女性は少人数なので相手はほとんど1回で覚えてくれますが、男性の皆さんは正直、区別がつきません。なので、テーブルに座ったら必ず順番に名前を書いたり、名刺の裏に書き込みをしたり、写真と照合したりと努力するのですが、それでもかなり苦労します。人の顔と名前をすぐに覚えられる能力がいま一番欲しい能力です。

 もう一つは他の組織の委員長や偉いみなさんは、何年何月何日に何があったとか、あの時の組織の誰がどうでというような話をよくされます。それを記憶するのがとても大変で、労働組合の歴史みたいなことを知らないと話についていけない。政治家のみなさんも同じく歴史を含めて色々なことを覚えていらっしゃいます。そういった能力があればいいな、と最近つくづく感じています。


北原

 あったらよかったな、と思うスキルは誰とでもフレンドリーに接することができることです。私自身は人と話すことなどが苦手で苦労しています。でも、それはもって生まれたものなのか、育ちなのかは分かりませんがいまから身に付けるものではないと思っているので、後はやる気と流される覚悟だけだと思います。

 

―ありがとうございました。

 確かに、労働組合に関わる時に法律の知識が必要だとお話される方は多いと思います。私自身、組織の中で次に組合役員をお願いしたい人に話しかけると、「法律とか会社の制度とか、全然分からないから無理です」と断られることも少なくありません。もちろん、永島委員長がおっしゃった通り、全部覚えている必要はないよと声をかけるのですが、なかなか相手は納得してくれないのが現実です。男性はわりと、そういうことを覚えることに強いような印象を受けます。その辺に男女の違いがあるのかも知れません。

 そういった困難をどうやって克服されていますか?やはり日々勉強でしょうか?


永島

 私は男女で能力の差とか、得意不得意の差はあまりないと考えています。けれど、歴史のことなどは特にそうですが、得意不得意が出る分野だと思います。なので、覚えるというより、どうやったら必要な時にその知識を引き出せるかということを考えておくことが必要だと思います。

 

―ありがとうございます。

 いまのお言葉はすごく心強いと思います。知らないからできない、と思うのではなく自分自身で知識を用意しておくということが大切だと分かりました。

 ここでテーマを変え、組合役員と私生活やご家庭を両立されている方がいらっしゃると思います。そこには時間の使い方の工夫などが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。北原支部長にお伺いしたいのですが、いま短時間の勤務をされながら支部長をやられているということで、ご家族の協力も必要でしょうし、お子様との関りもあると思いますが、どのような工夫をされているか教えていただきたいと思います。


北原

 私自身がやっていることは、短時間勤務ということもあり、できるだけ早く帰れる日を多く作るために、会議はなるべく昼休みに開催するようにしています。もともと執行委員会などは夕方か就業時間外にやっていたのですが、それをお昼休みに移動しました。

 これはもともと自分のためにやっていたのですが、女性組合役員を増やすにあたり、どうしても短期時間勤務の方にお願いすることも多いと思います。2年任期のなかで、30代の方にお願いすると出産を控えているなどの理由が必ず出てきます。そういう時に、できるだけ融通が利くように会議を昼休みにすることが、女性を増やす一つの要因になると思います。

 

―いきなり会議を昼休みに移動することに、特にハレーションなどは起こりませんでしたか?


北原

 意外と職場では「早く帰れていいよね」という意見が多かったです。懇親会もランチミーティングに変えたりしているのですが、男性で育児中の方からも好評です。

 

―組合員さんからの見方は変わりましたか?自分にもできるかも、といった声などありましたか?


北原

 いま実際に執行委員や職場委員をやっている方々は実感していますが、なかなか一般の組合員さんまでは伝わっていないのが現状です。

 

―北原さんばかりに聞いていますが、本日も会社はお休みということですが、お休みの日に組合活動をすることについてはご家族の方の理解はありますか?お子様はいかがでしょうか?


北原

 やはり組合活動には夜も多いので、夫の協力が必要不可欠になっています。私の夫はわりと育児や家事に協力的でしたから、いま何とかやれていると思います。すごく恵まれていると思います。いつも感謝を忘れないことを信条にしていますが、なかなかうまくいきません。家事を任せて出かけ、帰宅すると洗濯物が山積み、となると嫌味の一つも言ってしまうのが現状です。そして反省することの繰り返しです。

 子供に関しては、意外と何も感じていない様子です。小さいころからお母さんも働いているのが当たり前なので、出張から帰っても「お土産は?」しか言わない感じです。

 

―ありがとうございます。

 夫の協力は必要だと感じますが、なかなか感謝の気持ちを常に持つのは難しいものですね。

 次に永島委員長と泰中副委員長にお伺いします。いま、単組の活動以上に色々な活動が多くあると思いますが、ご自身のワーク・ライフ・バランスはいかがでしょうか?


永島

 一番聞かれたくないところをド真ん中で聞かれている感じがします。

 私はそもそも専従者と非専従者で少し役割が違うと思っています。専従者はミッションコンプリート型なので、一つの任務を完了するまでとことんやる。これは先ほどの北原さんのように支部長であり組合役員として色々な活動をするというのとは少し役割が異なるのかな、と考えております。

 私自身も北原さんのお話を聞いて、自分自身もそうありたいと思います。北原さんのように女性、非専従で活躍する方が増えるなかで、次々と会議とか運営が変わっていってとても心強いです。みんながやりたい、やりやすいを一生懸命に突き詰めてやっていくことが一番いいと思います。

 そこで、私自身のワーク・ライフ・バランスですが、ほぼ無いです。やらなければならないことをやる。私自身は心の持ちようとして気に病まないことにしています。移動が多い乗り物のなかでは寝たり、読書をしたり、ONOFFをそこで切り替えるようにしています。完全に休んでいるかと聞かれれば、答えはNOになります。基本的にそんな感じです。

 ただ、私は3日間休みがあれば、海外に行くような旅行好きなので、そこでは完全にOFFです。日本からの電話は出ないと心に決めています。

 あまり参考にならないかもしれませんが、こんな感じです。

 

―泰中さんはいかがでしょうか?


泰中

 私自身も参考になるような働き方はしていないと思います。ついだらだらと仕事をしていまいます。会社に対し、時間管理とか生産性とかいう一方で、自分自身のことはおろそかになってしまいます。

 ただ、単組とUAゼンセンとの仕事については私の中では完全にバランスが取れていて、単組で言えないことはUAゼンセンの会議で一緒の方々に聞いてもらう。こちらも悩みを言って、相手の意見を伺うなかで自分自身を見直す。そこでバランスを取っていると思います。

 

―ありがとうございました。

 質問した自分はどうかと聞かれれば、私も自信はありません。どちらかと言えば、泰中副委員長と同じです。UAゼンセンの活動のなかで発散することも多いです。

 また、永島委員長と同じで私自身も休みがないことをマイナスとは感じないようにしています。それで笑顔になってくれる組合員がいれば、それが達成感になっています。組合員さんからは「休めていますか?」と聞かれることも多いですが、移動中に居眠りをしたり、動画を見たり、そこで息抜きをして次につなげるようにしています。

 いまのお話を聞いて、自分のやっていたこととの共通点を感じ、自分の中で納得しました。

 さて、事前に募った質問の中に、リーダーになって良かったことを聞いて下さいというものがありました。いまの立場になって良かったと感じることがあれば教えて下さい。


北原

 私は大阪支部長になりまだ1年半ということもあり、まだ達成感などもそれほどありません。ですが、組合員さんからの相談で小さなことから大きなことまで解決した時に「ありがとう」と言われたときは良かった、と感じます。それは、私だけの働きではありませんが、感謝されることもリーダーの役得の一つだと感じます。

 

―永島委員長はいかがでしょうか?


永島

 私はUAゼンセン流通部門のなかでパート総合労働対策委員会をやらせて頂いております。そこでパートのみなさんと議論をしていると、人手や制度の不満がたくさん出てきます。そんな時に、私がいつもお伝えするようにしていることがあるのですが、それは「変えたかったら自分がトップになったらいいですよ」ということです。

 トップになることの最大の良さは、自分のやりたいことをやれるということです。私自身が専従者になる時に、一番やりたかったことは「同一労働同一賃金」の実現です。それをどうしてもやりたくて、いまここまで来たという感じがします。制度をつくり、物事を変える力がトップにはあります。その分責任もありますが、それだけにやりがいはあります。だから、ぜひ、みなさんにもリーダーになってほしいです。

 

―トップになることを目標にするのではなく、何かを変えたいと思ったらできる、といった感じでしょうか?


永島

 私自身も含め、上司や組織に不満はあるものです。そのなかで何かを目指すということですね。トップになって良かった、ということではなく、なって何がしたいかだと思います。

 

―泰中副委員長はいかがですか?


泰中

 私はトップリーダーではありませんが、一番思うのは人脈が広がることです。私自身が何かをやっていくなかで、普段は絶対知り合えない人々と出会える。それがすごく良かったと感じています。

 あと、私がいつもみなさんに伝える自慢は、UAゼンセンの中でだれもが憧れる永島委員長や株本委員長と一緒に飲みに行ける。それが本当にラッキーだと感じています。

 なので、UAゼンセンに何かやってくれと頼まれたら、絶対に引き受けた方がいいと思います。すごい人が「飲みに行こう」と誘ってくれます。絶対にお勧めです。私自身にとっても本当に良かったと感じています。

 

―ありがとうございました。

 ここまでのお話の中で、いままだ組合役員をやっていない人も、やってみようかなと思ってもらえたと思います。

 ここまでリーダーになる過程で、だれかの言葉に背中を押してもらえた、悩んでいた時に気持ちを楽にさせてくれた、といった経験があれば教えて下さい。

 永島委員長はいかがでしょうか?


永島

 これは少し暗い話になる可能性がありますが、マイカルの合理化があった時、労働組合は次世代に継承するためにということで、組合執行部を縮小しました。当時、労連を含め27名いた執行部から、7名へと大幅な人員削減をすることになりました。その時、女性役員は私と2名の先輩で3名いました。

 いざ人員削減という時になり、私だけを残して2名の先輩が退任されました。2名のうちの一人はUAゼンセン内の役割も担っておられて、とても有名でした。私自身から見ても輝いていましたし、いずれはトップリーダーとなり労働界を引っ張る人だと信じていました。なので、入ったばかりの私は2名の退任にとても驚きました。

 先輩方の退任に直面し、自分は新入りだし、無理かもしれませんと言ってしまいました。その時、先輩方は直接ではありませんでしたが、「自分たちが責任もって引っ張ってきた人間を辞めさせるわけにはいかない。だから新人はみんな残れ、代わりに自分たちが退任する」とおっしゃいました。先輩方の熱い想いを知っていたので、これは自分が引き継いでやっていかなければ、と感じました。だからこそ、ここまで頑張れたと思います。

 もし、あの時、先輩方が退任されなければいまの私はないと思います。

 

―合理化を進めていくなかで、自分の前に熱い想いを持った先輩がいることは大きなことだと思います。なにか直接的なこの一言が、という言葉ありましたか?


永島

 言葉ではありませんが、そのお二人はとても熱い方々で、男女問わず徹底的に議論するところがありました。いつも議論が白熱するのを見て、尊敬するところと感情を出すと相手が引くのではないか、といった二つをいつも感じていました。

 熱い想いはそのまま引き継ぎ、議論の時は冷静にいようという反面教師としての教訓も受けました。

 

―北原支部長はいかがでしょうか?


北原

 やはり私を導いた言葉は「立場は人をつくる」という言葉です。あと、私のなかで転機になったのは、専従者になり半年ぐらいたった時に、製造産業部門の男女共同参画推進委員会のなかで「インポスターシンドローム」という言葉を知りました。日本語にすると「ペテン師症候群」というのですが、自分の成果を正当に評価できずに過小評価してしまうという意味です。私が営業だった時、成績が上がってもこれがいつか崩れるかも知れないとずっと心配していました。その時、この言葉を知って、そういう部分があるな、もっと自分を正当に評価してもいいのだな、と気づきました。

 なので、いま支部長をしているなかで、人前で話すことは苦手ですが、無理と言いながらも引き受けるように努めています。この言葉のおかげでなんとかやっていけているのかな、と思います。

 

―ありがとうございました。

 会社の中でも男性は何かを頼まれた時、チャンスだと飛びつくことが多いですが、女性は「私ですか?」と少し謙遜する傾向がある気がします。やってみたら何とかなる!という心強いメッセージをいただきました。

 泰中副委員長はいかがでしょうか?


泰中

 いままであまり言ったことのない話ですが、実は4年間専従で中央執行委員をしていた中で、書記長が退任された時に、いままで非専従だった人を連れてきて書記長・副書記長にされたのです。私はその時に副委員長になったので、本音を言うと「あ、私じゃないのだ」と感じました。それで、副委員長も情けでつけてくれたと思い、自分はたいして必要とされていないし、頼られてもいないから、このままお気楽なキャラクターでいいかと開き直っていました。そんななかでとある研修に参加した時に、副書記長からのメッセージで「私はいつも泰中さんに頼り切って甘えている。研修を受けてさらに頼れるリーダーになって帰ってきてくれたら、もっと甘えて頼りたい」と書いてありました。その時、そんな風に思ってくれていたのだと知り、嬉しかったです。自分はたいして能力もないし、必要とされていないではないか、というのがずっとありました。だから、頼られていると感じてとても嬉しかったです。

 自分は書記長にはなれなかったけれど、その人たちを支えたいなと思いました。


―ありがとうございました。

 泰中副委員長と同じで、私自身も女性だから選ばれたのではないかといつも単組でひねくれた意見を言ってしまいます。でも、こんな私でも頼りにしてくれる人がいるというのはとても励みになると感じました。

 また、北原支部長がおっしゃられた「立場は人をつくる」ということもそうだなと感じました。

 さて、ここで会場の方から質問を募りたいと思います。いかがでしょうか?


質問者

 貴重なお話をありがとうございました。

 男女問わず組織のトップで活躍されている方は輝いていると感じました。

 組合はまだまだ男性社会で古い、昔ながらの偏った文化もたくさん残っていると思います。みなさんの組織で劇的に変わってきているところ、またこれはいまの時代に残しておくべきではないな、と感じることがありましたら、それぞれ教えて下さい。


泰中

 私自身はさほど過去のことを知りませんが、昔は会議の後に懇親会があり、さらに立ち飲み屋で立てなくなるくらいまで飲む、といったことが普通にあったと聞いています。いまはそういうのはなくて、会議の後の懇親会はありますが、できるだけみなさん来てくださいと言う感じで二次会、三次会と強制されることはなくなりました。行きたい人は行き、帰りたい人は帰る、といった感じです。

 まずいことはやはりお店選びが男性中心になってしまっている面は少し時代にそぐわないと感じています。


永島

 私の組織で劇的に変わったことの一つに専従者の男女比があります。いま、78名のうち23名が女性となり、3分の1が女性になると発想も、格好も、雰囲気から変わります。男女がともに一つの組織にいることで刺激になっているようです。

 私自身が組織を考える時に、男女で役割を決めることは基本的にありません。私は基本的にやって男女の差があることはほとんどない、と思っています。昔から教育・広報などは女性、組織・政策などは男性といった棲み分けがありますが、他の委員会などでも必ず政策に女性をつけてほしいと要望しています。例えば、育児のことなど実際に育児をしている、あるいはすることになる女性の視点が必要になる面は多いと思います。

 ジェンダーフリーを要求してきた労働組合が実は一番、ジェンダーフリーじゃないという現実があります。会社に言う前に自分の組織を変えるべきだということもいつもお伝えしています。まずは自分自身の後継者を男女関係なく、ゼロベースで誰にやってほしいかを考えることから変わると思います。トップの人事は最終的にトップの判断になる。女性のトップリーダーを出すにはトップの意識が変わる必要があると思います。まずは労働組合の現役委員長がその責任を負うべきだし、そこを変えてほしいと思います。


北原

 一番変わったことは本部の現役女性執行委員が産休・育休を取得できたことだと思います。トップリーダーの意識も着実に変わっています。

 男女問わず困っているのは、長時間労働です。いまも困りますが、次の世代にこれを受け入れてもらえない。次の世代に専従を継がせられないと思います。

 

―確かに労働組合こそ遅れている、ということはよく聞きます。

 北原さんのおっしゃった長時間労働などは特に顕著ですね。永島さんのおっしゃった通り、色々な面で見直しが必要となりますね。

 他にご質問はありますか?


質問者

 私の組織では後継者探しに苦心しています。次世代の発掘について何か感じていらっしゃることがあれば教えて下さい。


北原

 私の組織もいま改選期で悩んでいます。

 こちらが良いと思っていても、色々な理由で断られています。男性に関しては会社のことを良く知れるというのが定番の誘い文句です。他の人々が自分の部署しか知らないなかで、普通の立場にありながら課長くらいの目線で色々なことを実現できる、ということを伝えるようにしています。女性に関してはすぐに断られるのを「絶対無理と思っているかも知れないけれど、その絶対はないから」と根気よく説得しています。


永島

 幸いにして、断られる率は下がってきています。新しく来た方に聞くと、「みなさんがとても輝いているので」と言われることが多くなりました。長時間労働については組合活動がしんどい、と思われないように、自分たちがくたびれない、明るく元気にやろう、ということを大切にしています。

 後継者に関しては、専従者については困っていませんが、私は次の書記長についてはいつもどうしようか考えています。

 

―輝いている、という言葉をどう考えられますか?


永島

 みんな責任をもって働いてくれていると思います。

 権限委譲というか、みんなが考えて、みんながやりたいことを、他の人々が賛同してくれるならばなんでもやれる、ということを大切にしています。これが輝いている原因だと感じています。


泰中

 私の組織はことごとく断られています。

 専従者の数は少ないので、何がいけないのかはいつも悩んでいます。ただ、私としてはダスキンという会社のなかで、ドーナツを作っている人もいれば、掃除をしている人もいて、人事の人もいて、と色々な仕事があるなかで組合だけが全体を見られるということを伝えるようにしています。支部については担い手が多いのですが、専従者や中央執行委員についてはもう少し努力が必要だと感じています。

 またUAゼンセン内の役職で言えば、私は総合サービス部門の女性リーダーワーキングチームを担当しています。私はこれも楽しんでいますが、自分だけが満足するのではなく、色々な人に経験してほしいので誰かに譲りたいといつも悩んでいます。

 

―会社全体のことを知れることは大きなメリットとして、伝えやすいみたいですね。


永島

 一つだけ補足をすると、「輝いている」と言いましたが、いまは正直、かなり追いつめられているような面もあります。

 

―これこそまさに本音トークでしたね。

 本日、この場で色々なご意見やアドバイスがありましたが、ここで共有された話を受けて、次の機会に女性リーダーとしてここに座っている方が、参加者のみなさんのなかから現れることを祈念して、本日のセミナーを終了したいと思います。

 3名の女性リーダーのみなさん、本当にありがとうございました。

 

以上