取引慣行に関する実態調査

取引慣行に関する実態調査
2024年2月
取引慣行の改善に向けて

フード連合・UAゼンセン合同調査「取引慣行アンケート」集計結果報告

目 次

はじめに

「食」を適正な価値で評価する社会の実現を目指しています

国民・消費者が「食」を通じて豊かで健康な生活ができるように、人の生命にとって欠くことのできない安 全・安心な食料を安定的に提供し続けることが、食品関連産業には求められています。

フードバリューチェーンのなかで食品が生産者から消費者に届くまでの各段階において、それぞれが生み出 した価値が公正・適正な価格として評価される取引を実現することが必要です。

安全で新鮮な食品素材を作りたい
・安定して購入して欲しい…
魅力ある食品を安全・安心な状態でお届けしたい
・品質は落とせない…
・農家にも迷惑はかけられない…
・値上げしたら取引がなくなるかも…
品質も時間も守ってお届けしたい
・運賃を上げられない…
・ドライバーが集まらない
安全な食品を安心の価格で提供したい
・欠品したら、お客様に迷惑をかけてしまう…
・値段を上げたら、他店に負けてしまう
豊かで健康な食生活を送りたい
・安全/安心は当たり前…
・欲しいものを、少しでも安く買いたい…

「食」の価値連鎖にゆがみが生じている

生活必需品である食品は、消費・価格ともに消費者の意向が反映されやすい傾向にあり、小売での熾烈な価 格競争が、そこに製品を納入する食品物流や食品製造にしわ寄せされ、価値に見合った価格になっていない可 能性があります。

このことが結果的に、それぞれの段階で働く者の労働条件に大きな影響を及ぼしている現状があります。

食品関連産業の賃金は相対的に低水準

全産業を100とした指数であらわしたとき、食品関連産業は、相対的に低水準になっています。

公正な取引関係の構築を目指した取組み

フードバリューチェーンのなかの食品製造業と流通・小売業との取引について、フード連合とUAゼンセンは2003年から連携し、取引の現場の課題である優越的地位の濫用行為の改善に向けた活動を進めてきました。その活動の一環として、フード連合とUAゼンセンが共同で取引慣行の実態を把握するために、営業を担当する加盟労働組合員を対象に、毎年9月~10月に「取引慣行に関する実態調査」を実施し、実際の取引現場での問題となり得る事例の発生状況を本冊としてまとめています。

この「取引慣行に関する実態調査」を基にし、食品関連の公正な取引に関わる省庁や小売業を中心とした業界団体に対して是正に向けた取組み強化の要請を行ないます。また、政党に対しても食品取引の実態を伝えることで必要な法律改正や政策等の検討に繋げます。これら要請を行なった組織のその後の取組みを注視しつつ、翌年以降の実態調査にて現場の改善状況の確認を行ないます。

①取引慣行に関する実態調査
2023年9-10月に実施した調査の結果
回答総数:4,931件(昨年:4,257件)
14の「問題となり得る取引事例」の発生総数:3,346件(昨年:3,135件)
②要請行動
・関係省庁
・業界団体
・政党
②実態の改善
・独占禁止法、下請法の執行、改正
・適正取引推進ガイドラインの周知、改訂
・優越的地位濫用事件タスクフォース
・下請けGメン
・個別の指導 等
①取引慣行に関する実態調査へ戻る

フード連合とUAゼンセンは、食品が生産者から消費者に届くまでのフードバリューチェーン全体で、それぞれが生み出した価値が公正・適正に付加されるように食品関連産業の取引慣行の健全化を図り、国民・消費者の豊かで健康な食生活の実現を目指しています。引き続き実態調査を実施していくとともに、様々な組織と連携し、改善に向けた取組みを力強く推進していきます。

調査の概要

調査目的
取引現場における問題となり得る事例を集約し、現場の声として公正取引委員会をはじめとする各方面へ伝え、改善を求める。
調査の方法
「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」をベースに、14の取引の種類・形態において問題となり得る事例の発生状況を確認した。
調査期間
2023年9月~10月
回答件数

回答総数:4,931件(昨年:4,257件)

14の「問題となり得る取引事例」の発生総数:3,346件(昨年:3,135件)

※3,346事例の内訳 フード連合:2,757件 UAゼンセン:589件

回答企業数
110社 ※110社の内訳 フード連合91社 UAゼンセン19社
アンケート回答者の業種・取引先
担当営業エリア
北海道
39
青森県
9
岩手県
11
宮城県
39
秋田県
5
山形県
5
福島県
22
茨城県
8
栃木県
14
群馬県
19
埼玉県
52
千葉県
47
東京都
310
神奈川県
55
新潟県
13
富山県
10
石川県
19
福井県
6
山梨県
11
長野県
18
岐阜県
10
静岡県
46
愛知県
138
三重県
12
滋賀県
9
京都府
35
大阪府
183
兵庫県
48
奈良県
4
和歌山県
16
鳥取県
2
島根県
2
岡山県
31
広島県
42
山口県
8
徳島県
4
香川県
4
愛媛県
12
高知県
3
福岡県
93
佐賀県
9
長崎県
11
熊本県
16
大分県
7
宮崎県
8
鹿児島県
16
沖縄県
5
合計
1,486

14の問題となり得る取引事例

独占禁止法や下請法、「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」を基にして問題となり得る事例、望ましい取引事例を整理しています。これらの事例は法令違反に該当するおそれもあります。

01
前提が異なる場合の同一単価による発注
大量発注を前提とした割安な単価の見積りを、その後の大幅に少ない発注数量の取引単価としても一方的に決められた。
02
包材(フィルム等)の費用負担
取引先から製造委託を受けて包材を調達したにも関わらず、販売不振により使わなくなった包材の代金を小売業者に負担してもらえなかった。
取引先の要請で包材のデザインを変更したにも関わらず、かかった経費を負担してもらえなかった。
03
合理的な 根拠のない価格決定
取引先の特売期間に対応した通常より大幅に低い価格を、特売期間終了後も継続を求められ、一方的にその価格を押し付けられた。
協賛金の徴収という名目で、取引先が事前の相談なく伝票上で納品価格を勝手に引下げる操作を行なった。
04
原材料価格等の 上昇時の 取引価格改定
大幅な原材料価格高騰にあたり、資料を基に値上げ要請をしたが、納品価格を一方的に据え置かれた。
取引先からの急な発注に対応するため、人件費、物流費等のコストが大幅に増加したにも関わらず、従来の納品価格のまま据え置かれた。
05
物流センター使用料等の負担
合理的な根拠が示されることなく、著しく高額な物流センター使用料(センターフィー)やコンテナリース料を徴収された。
06
協賛金(リベート)の負担
販売目標の達成に見合って負担する協賛金を目標達成とは無関係に別名目で徴収された。
納得できる算出基準や根拠の明示がないまま、販売量とは関係なく、一律に毎月売上高の○%に相当する額の協賛金を徴収された。
07
店舗到着後の破損処理
どの時点で破損したか特定できず、小売業者から言われるままに返品や交換に応じざるを得ない。
破損による欠品を防ぐため、小売業者から予備の商品を無償で提供するよう要求され、買取りを求めても受け入れてもらえない。
08
短納期での発注、発注キャンセル
リードタイムが短く無理な注文に応えることを余儀なくされ、結果として見込み生産による余剰が発生した。
前日発注対応のため見込み生産を行なっているが、受注が少なければロスが生じ、受注が多ければ追加生産作業となり、人的コストが発生する。
09
受発注システム使用料等の徴収
取引先側が持つシステムの利用料に関する明確な説明がなく、受発注データ1行につき1~2円で徴収される。
10
物の購入強制(押付販売)
取引先の営業担当者から、前年実績を引き合いに出しつつ、季節商品の購入数量の報告を求められ、断れない。
11
従業員の 派遣、役務の 提供(不当な労務提供)
商品の搬入、陳列、棚卸し等、自社の直接の利益にならない業務を取引先で行なうために無償で働かざるを得なかった。
12
客寄せのための納品価格の不当な引下げ
取引先Aが、納品価格を下回る価格で商品を販売。別の取引先Bから、これを引き合いに、同種の商品の納品価格を引下げるよう一方的に要求され、断ることができない。
13
プライベートブランド(PB)商品をめぐる不利な取引条件の設定
PB商品の製造にあたり、ナショナルブランド(NB)商品と同水準の原材料の使用を求められるにも関わらず、取引先からNB商品より著しく低い価格を一方的に設定された。
14
不当な返品
メーカーが定めた賞味期限とは別に、取引先が独自にこれより短い販売期限を定め、その販売期限を経過したことを理由に返品された。
返品条件を取り決めていないのに、段ボールの軽度な汚破損商品、売れ残った商品、店舗改装時の商品入れ替えに伴い在庫となった商品等を返品された。

調査結果報告

14の問題となり得る取引事例の発生状況

総 括
優越的地位の濫用行為や食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインにおいて問題となり得る取引事例は3,346件発生している。
14の「問題となり得る取引事例」のうち、「原材料価格等の上昇時の取引価格改定」に関連した事例が514件と最も多く、次いで「従業員の派遣、役務の提供(不当な労務提供)」が479件、「店舗到着後の破損処理」が408件となっている。
「原材料価格等の上昇時の取引価格改定」では、取引先の一方的な理由で、納品価格を据え置かれた事例が280件(41.2%)、納品価格への転嫁は受け入れられたものの必要な価格まで改定することができなかった事例が189件(27.8%)発生している。加えて、価格改定は受け入れられたものの販促費等の著しく不当な条件を付けられたといった事例が53件(7.8%)発生している。また、交渉の場につくことさえ拒否された事例が51件(7.5%)や、取引先の一方的な理由で取引を停止された事例も20件(2.9%)発生している。
「従業員の派遣、役務の提供(不当な労務提供)」では、年間61回以上が26件(5.7%)発生している。休日や深夜におよぶ労務提供も依然として発生している。また、日当や交通費については、メーカーの立場で請求しづらい状況が依然として見受けられる。
「店舗到着後の破損処理」では、メーカー側に破損の原因があることが特定されていないにも関わらず、一方的に返品対応を求められる状況が発生している。

01
前提が異なる場合の同一単価による発注
発生件数215件(昨年186件)

代表的な事例

過去納品していた商品が事前連絡もなく突然発注に上がってきたが、欠品させるわけにもいかずコストが上昇しているが差損して販売せざるを得なかった。

大きな数量確定限定で対応した納品原価をその後も適応するように要望され、数量が未確定の企画にも適応するように求められる。対応できない場合にはその企画自体やらないという反応になり売上獲得ができないという状況になる。

販促実施時の条件として提示したにも関わらず、実際には店頭でのプライス付け替えのみ。チラシ掲載もなく、送り込みもなし。店頭での露出が増えることもなく、売上が伸びない中で条件だけが下がる形となった。

100ケース単位で発注を受けた場合の納価を、後日、数ケースの発注時に強要される。断ると他社に話を持っていくと脅しのような対応のため、了承するしかない。

10年前に別担当者が出した見積りのままで納品しており、商品の売付け単価が上がり、値上げ交渉するが応じてもらえない。

取引価格設定時の取り扱い量に比べて実際の発注量が下回るケースや、販売促進時の条件にも関わらず実際には販売促進が行なわれないケースも発生している。また著しく過去の条件を持ち出してメーカーの負担が上がる状況も発生している。

02
包材(フィルム等)の費用負担
発生件数72件(昨年59件)

代表的な事例

段ボールを在庫にするよう求められたが、商品終売を理由に在庫を引き取ってもらえない。

価格改定時、商品欠品による差し替え時の店頭POP代金。

量販店のPB商品を製造していたが、先方都合でリニューアルを実施し、切替時の残資材は全量当社負担で対応した。

取引先の要請で包材のデザインを変更したにも関わらず、負担を依頼するとそれはできないと言われ、仕方なく自社負担にて廃棄。

包材の作成依頼を受け、当初見積り書に費用を上乗せすると渋られることがある(ソール等)。

取引先の都合によって発生した包材等の資材について、合理的な理由もなく食品メーカーが費用を負担するケースが発生している。

03
合理的な根拠のない価格決定
発生件数230件(昨年262件)

代表的な事例

見積り書で約束した以外の条件請求をされ続けており、通常の請求へ修正するようにお願いするも無視されている。

価格改定商品であるにも関わらず、競合企業が売価を変えるまで、売価原価を変更しない。新価格と旧価格の差分を帳合卸企業やメーカーに負担をさせる。

製造上のトラブルにより、緊急終売となる商品が発生し、その際、残るシリーズ品に対して、ペナルティとして、1個の販売につき10円の支払いを求められ断れなかった。総額440万ほど。

約束していない期間に関しても条件を求められることあり。「売価を落として登録したから条件出しておいて」と提案や了承をしていない条件を求められる。

アイテムカットの影響から売り上げダウン対策として残りの商品の原価を一方的に下げられて特売を強要された。

必ずしも食品メーカーに責があるわけではない、取引先の都合にも関わらず、不合理な納品価格や条件を要請されている。
組合員の声
取引慣行アンケートより抜粋して紹介します
顧客と対等な関係で取引をさせて貰える企業は限りなく少ないのが現状。身を削って対応することを求められている。
様々な取引先からの要請実態に対し厳格に対応していくべき。悪質な企業には、国や行政から重い処分を下すとともに社会に対してその旨を公表するなど、厳しい対応を望む。
誰も声を上げられていないのが実態。直接声をあげると取引にも関わるので、改善に向けて慎重に働きかけを検討していただければと思う。
事例としては改善しているものもあるが、また新たな悪い慣例が生まれモグラたたきになっている。対象企業の体質自体を改善しないと同じことが繰り返されるという事態から脱却できないと感じている。
調査結果を基にぜひ改善を進めてほしい。現場で直接ヒアリングすればもっとリアルな声が聞こえると思うので、協力したい。

04
原材料価格等の上昇時の取引価格改定
発生件数514件(昨年474件)

代表的な事例
<取引先の一方的な理由で、納品価格を据え置かれた事例>
280件

大幅な原材料価格高騰にあたり、資料を基に値上げ要請をしたが、3ヵ月以上前に言わないと価格改定できないと納品価格を一方的に据え置かれた。

価格改定時競合店の売価調査をさせられる。店頭画像もしくはレシート画像を添付し、原価・売価一覧表を作成させられて、まとめた資料の提出を求められている。改定後、原価・売価が変更になるのに少なくとも2ヵ月以上は必要になっている。

資料を基に取引先社内で会議にかけていただいたが、社内を通せなかったなどの理由をつけ、価定要請月よりも3ヵ月遅れて改定となったため、遅れた3ヵ月分の損失分は補填してもらえなかった。

根拠資料を基に価格改定の見積りを提出。商談の場では、一旦社内決算を取るという返事をされるが、その後、社長のアポイントが取れない、他に優先度の高い案件がある等の理由で先延ばしにされている。

<納品価格への転嫁は受け入れられたものの、取引先の一方的な理由で、必要な価格まで改定することができなかった事例>
189件

他の競合メーカーがまだ改定していないから改定を呑まないし会わないと言われる。また、給料のベースアップをしたから御社は会社として余裕がある証拠なので、余裕がある会社からの値上げを受けないなどと言われる。

参考小売売価の上昇率以下の納価上昇率しか認めない、物流費や包材費の上昇分の価格転嫁は認めないというスタンスを取られる。

価格改定(値上げ)を行なっているにも関わらず、他企業売価が上がっていないとそれまでの特売納価を継続される。ほぼ強制的。難しいと進言すると商品カットとなる。

原料100円/kgの値上げに対して、納品は10~30円/kgの値上げしか受け入れられない。値上げ出品しても発注数をかなり絞られる。

<価格改定は受け入れられたものの、販促費等の著しく不当な条件を付けられた事例>
53件

値上げを呑む代わりに別の名目で多額のお金を要求される。

改定時期の先伸ばし、他社動向を理由に希望価格を受け入れない、またはバーターの販促条件を要請される。

<メール、電話、訪問等を避けるなど交渉の場につくことを拒否された事例>
51件

1年前に実施した価格改定についても、他の量販店より売価が高いという理由から拒否されている。現時点で直近3回の価格改定が終了していない。3回目の改定分に関しては、商談を3回中止され、未だバイヤーと直接話すこともできていない。

メールでは連絡が取れたが、訪問を拒否された。多忙を理由に価格改定が遅れた。取引先の理由で価格改定額の見直しが必要となった。

<取引先の一方的な理由で、取引を停止された事例>
20件

値上げの際に高圧的な態度で一方的な価格を押し付けられた。価格を要望通り対応し見積りを提出するも、他社で契約したとキャンセル。

ある企業で価格改定は受け入れられないとのことで、改定よりも3ヵ月以上据え置きにされ、改定後取引企業から外され商品を大幅カットされた。

取引先の「一方的な理由」で、納品価格への転嫁は受け入れられたものの必要な価格まで改定することができなかった、納品価格を据え置かれたといった事例が発生している。加えて、価格改定は受け入れられたものの販促費等の著しく不当な条件を付けられた、交渉の場につくことさえ拒否された、取引を停止・商品をカットされたといった事例も発生している。

05
物流センター使用料等の負担
発生件数86件(昨年110件)

代表的な事例

先方の判断によりセンターフィー料率が決められるが、メーカー名義の消化仕入れ蔵運用のため、経費請求はメーカー負担となるが、商品価格への転嫁は認められなかった。

センターフィーの上昇に伴う請求額の増額を有無を言わさず要求された。

卸店に対して「本部フィー」「センターフィー」という根拠が示されない支払いがある。小売業が“謎の”本部フィーやセンターフィーを細かい根拠で提示する必要があると考える。

物流センターフィーだけでなく「本部フィー」という名目で、卸店が徴収されている。これは間接的にメーカーにまで条件要請に繋がる。本部フィーなどの内訳も分からず、言い値になっていると考えられる。

価格改定前に対象商品を取引先の倉庫へ買い溜めする際に、センターフィーとして納価全体の3.5%を要求される。

過去からの慣習によって、明確な理由が分からない物流センターフィーや本部フィーを払い続けている。

06
協賛金(リベート)の負担
発生件数195件(昨年224件)

代表的な事例

納得できる算出基準や根拠の明示がないまま、一律に毎月売上高の0.5%に相当する額の協賛金を徴収された。

創立周年なので協賛金として200万円を払うように要求される。過去にも150万円を支払ったからとのこと。文書には「協賛をお願いします」のみで、具体的な内容も金額も書いていないが、社長から上長に直接口頭で依頼あり。

ある販売企画を小売業から提案され、参加する企業は一律協賛金50万円を支払うよう通達があった。その50万円が何に使われているか具体的な内容は知らされていなかった。

取引金額とは関係なく高額なリベートを要求される。要求を呑まない場合は、定番アイテムをカットされる。

先方の社内予算を達成するという名目で急に「なんでもいいから数百万円のカネを作ってほしい」という要望が複数回にわたってあった。断ると取引に影響が出ると思い、いくらかは支払いを行なった。

名目や算出根拠が不明瞭な協賛金や、取引先の都合による不透明な協賛金の支払いを強要されている。また、支払いを断ることで取引に不利益が生じる事例もある。

07
店舗到着後の破損処理
発生件数408件(昨年306件)

代表的な事例

店舗から不良品の連絡があったとバイヤーから連絡を受け、店舗に出向き買取りをした。納品されたばかりの商品ではなく、1週間以上店頭に置かれていた商品の変色だったが、こちらで正規の売価で買い、そのこと を説明してもその後の改善策は示してもらえなかった。

商品の天地面が横向きで輸送され、納品後に置き方に問題があったと指摘を受ける。使用時に破損している商品があれば、交換することを提案するが、「割れている可能性がある物を使えと言うのか」と強く叱責される。返品後、倉庫で中身を調査するも破損は認められなかった。返品商品は全数廃棄。

ほぼ毎月特定顧客より破損として補填を求められている。

週に1回以上のペースでセンター納品後(受領印サイン後)の破損返品要請がある。センター責任者に状況説明するも、センターでの破損を証明できないとしてすべてメーカー責任として処理される。

破損による欠品を防ぐため、小売業者から予備の商品を無償で提供するよう要求され、買取りを求めても受け入れてもらえない。

明らかに食品メーカー側に責任がないと分かっていても食品メーカーが負担するケースや、取引先の損失補填が疑われるケースも発生している。

08
短納期での発注、発注キャンセル
発生件数288件(昨年237件)

代表的な事例

1~2ヵ月かかるレベルの発注について、何度も製造時期を確認しているにも関わらず、リードタイムを過ぎてから発注が来る。その分の人的費用や負担については一切請求ができない。

リードタイムの短い商品で先方の特売計画があり、連休が絡んでいたので在庫で対応したが、連休明けに注文が止まった。

以前、事前連絡なく急な受注増があり、急遽生産を行ったためコスト等で苦労したことがあったが値上げが認められず。逆に今回は同品が急に終売になったため弊社で大量の在庫を抱えることになりそうだが弊社生産計画に問題があるような回答があり、在庫全量引き取りを行なわないとの旨連絡有。

大雪や台風の発生時にも関わらず、物流センターの都合や安全を無視した無理な納品を求められる。欠品は絶対に許されない。

前日発注につき大方は見込み生産となるが、見込みが多すぎれば社内販売等で過剰分を消化、見込みが足りなければ追加生産。また、物流2024年問題を前に出荷時間を早めなければならない状況も出てくるかと思うが、先方の注文締め時間は1分たりとも早まらない予定。

リードタイムを無視した取引先の無理な要求への対応や、急な発注キャンセルによって、コスト負担や廃棄が発生している。また物流問題に直面して今後の対応を不安視する声も上がっている。

09
受発注システム使用料等の徴収
発生件数84件(昨年79件)

代表的な事例

インターネット受発注システムで1行あたり使用料が発生している。

①商品申請代:2,000円/個、②デジタル加工料:500円/個といった具体的な内容が不明であるが毎月請求あり。

発注データ処理料として1明細あたり5円を徴収されている。

受注システム運用費用や管理費用という名目で売上の2%ほど支払いをしている。

具体的な請求明細がないシステム使用料を、50万円を請求された。各社で情報開示を求めたが、メールの本文のみの回答だった。

名目や算出根拠が不明瞭なシステム使用料を払うことを余儀なくされている。

10
物の購入強制(押付販売)
発生件数176件(昨年220件)

1回で買わされた最高額
金額 件数
2023年 2022年
5万円以上 6 7
4万円以上5万円未満 2 6
3万円以上4万円未満 11 14
1年間で買わされた総額
金額 件数
2023年 2022年
20万円以上 2 3
10万円以上20万円未満 7 8
5万円以上10万円未満 13 16
代表的な事例

ワイン、クリスマスケーキ、おせちの購入を先方部長から強く勧められて、断ることができない状況。自己負担のため、経済的に厳しい時がある。

少なくとも四半期ごとにスーツ等の特招会や特販の依頼がある。完全強制ではないが、まったく購入しないわけにはいかないので、強制感はある。高額なものの場合、6割は会社が負担してくれている。

婦人雑誌の購入要請に対し、取引先担当者より前年実績のメールと電話による購入を求められた。前年も前担当者が先方のノルマ達成のため購入を求められ、本年についても「買ってくれるよね?」など半ば強制的に購入を強いられた。

コンビニエンスストアの季節商品(ギフト、クリスマスケーキ、うなぎ等)のパンフレットを渡される。数量が記載されている場合もある。今後の関係性や商品の取り扱い有無に関わるため断れないことが多い。購入分はすべて自己負担。

先方バイヤーにノルマがあるらしく、買わなくても何とかなるか聞いてみると「買うかどうかは、心意気があるかどうか」と言われ断りにくくされる。金額は自己負担。

特に必要のない商品を、1回数万円、年間数十万円の規模で強制的に自己負担で買わされるケースも発生している。取引先との関係性を考えると断りづらい状況が依然としてある。

11
従業員の派遣、役務の提供(不当な労務提供)
発生件数479件(昨年439件)

頻度
曜日
曜日 件数
2023年 2022年
平日 432 409
土日 84 83
祝日 30 38
時間帯
時間帯 件数
2023年 2022年
通常業務時間内(半日程度) 270 257
通常業務時間内(終日) 173 191
早朝/深夜含む 76 86
代表的な事例

当社品の登録がないスーパーの棚替えのお手伝いとして招集がかかった。理由をつけて断ろうとしたが、「担当を持ってから一度も来てないよね。助けてよ」と言われ断りきれず承諾した。17時ごろに依頼電話→翌日朝6:30に現地集合だった。

1店舗の改装で、多いときに撤去応援・改装応援・販売応援で計5日拘束される。業者が行なうような什器の搬送・設置もさせられており、いつ事故が起こっても不思議ではない状況が続いている。時間も遅いときには21時まである。

陳列に参加しないと商談に呼ばないという脅し。また、遠隔地へ参加したメーカーを優先して呼ぶというルールで、エリアを飛び越えての参加も余儀なくされる。

店舗の営業終了後(20時~21時)から商品撤去が始められ、終電間際の帰宅になることがあったり、店舗開店前までに改装陳列を終えないといけない強行スケジュールが組まれたりしている。その労務提供に対しては賃金は発生しなかった。

陳列の際には、交通費や食事も用意がなく、タダ働きをさせられている状況。不当さが可視化されないためにも、陳列情報の共有の際には先方から交通費請求等のファイルがついているが、どのメーカーも請求していない。過去に請求したメーカーが出禁のような対応を受けたということで、請求できる雰囲気がない。

取引先にて自社の直接的な利益にならない労働が発生している。なかには、年間61回以上、休日や深夜に及ぶ場合や危険な作業も強いられている。日当や交通費等の請求をさせない雰囲気を得意先が作っているケースもある

12
客寄せのための納品価格の不当な引下げ
発生件数317件(昨年269件)

代表的な事例

客寄せのために商品売価を一律で決定され、他メーカーは応じてくれたので、と半ば強制的な雰囲気で言われるため断りづらい状況となっている。

店頭売価に合わない場合、原価を合わせるようメーカー・卸を集めて要求してくる。要求に応じない場合、次回棚割時にカットを検討する旨通達してくる。優越的地位の濫用ではないかと考えている。

店舗リニューアル等で先方の客引きのために価格引下げを要望されることが多々ある。対象月が過ぎた後で、補填金の要請がきたり過去出した条件を引き合いにそれを使わせてくれとの要請がある。

「他のスーパーではこれくらいの納価でないと実現できないような売価が付いている。うちもそれに合わせてほしい」と通常より100円以上安いような納価を要求された。

新発売商品の新規採用・導入時において業界慣習的に「初回XX個半値」といった要請があり、応じざるを得ない。

新店オープンや新商品導入などにおいて半値納品といった行き過ぎた納品価格の引下げが常態化している。

13
プライベートブランド(PB)商品をめぐる不利な取引条件の設定
発生件数48件(昨年37件)

代表的な事例

PB商品の方が安価で品質が良いものという前提があり、高品質で価格は抑えなくてはならない商品規格の設計に頭を悩ませている。

価格改定ですべての商品を値上げせざるを得ないのにも関わらず、PBは据え置きの価格だと強行された。

取引先の利益率を下げたくないためPBの価格改定を受け入れて貰えず、NB品にて利益を代用という話になるも販売数が違うため弊社が負担する形で対応していた。

PB商品については、原料はNBより高水準を、価格は低価格を要求された。

原材料等の価格上昇の状況は同様にも関わらず、PB商品の値上げは受け入れられない状況が発生している。

14
不当な返品
発生件数234件(昨年233件)

代表的な事例

商品段ボールを保護している段ボールスリーブの軽微な傷、凹み、汚れを理由に中身が壊れている可能性が低いのに返品される。返品された商品の外装、中身を確認するが、返品になった理由が理解できないことがある。

天然由来の原料の色素がそのまま製品に出るため、時期などによって色が異なることがあるが、色が気に入らないと返品された。

取引慣行の1/3ルールよりも厳しいセンター納品期限を独自に設定している。リニューアルに伴い旧品を勝手に多く仕入れたが納品期限内に販売できず処分販売による経費負担を強いられた。

大きな陳列企画のためにセンターにある程度納品していたが、1/3が過ぎる前に返品もしくは処分のための補填金依頼がくる。

食品業界の謎の習慣、1/3ルールが多くの帳合や小売りでも適用されている。12ヵ月の賞味期限がある商品も製造から4ヵ月を過ぎると帳合に納品できなくなるし、納品していた商品がそれを過ぎると返品、もしくは処分販売をするので補填するよう強要される。

取引先の都合や合理的な理由の無い返品などの負担を食品メーカーが被っている。また、食品ロス削減の観点からも改めるべき商慣習である「1/3ルール」によって未だに返品が発生している。

※1/3ルールとは
食品メーカーと小売店の間に存在している商習慣です。食品には「おいしいめやす」として賞味期限が設定されていますが、最初の3分の1の期間にメーカー・卸売業者は小売店に納品しなければならない、次の3分の1の期間に、小売店が商品を店頭に並べておく、といったように慣習的に期間を決め、期間を過ぎた商品は廉価転売されるか、廃棄されてしまいます。

食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインの周知状況

適正取引推進ガイドラインを知っていたか
ガイドラインの策定から約2年が経過しているが、ほとんどの現場担当者にはまだ内容が知られていない。

問題となり得る取引が発生した際の対応

対応事例
会社や上司の指示内容
「会社・上司に相談し指示を仰いだ」 ※回答者のみ
その場で受けざるを得なかった理由
「その場で受けざるを得なかった」 ※回答者のみ

会社や上司に相談をしても、「要請を受けるように指示を受けた」や「具体的な指示はなかった」といった状況は未だ発生しており、会社や上司の認識や対応を改める必要がある。

営業担当者本人も今後の取引に不利な影響があることを懸念して断ることができない状況である。

違法な行為となり得ることを認識し、食品メーカーにおいても断ることを是とする社内教育や風土醸成が必要となる

取引慣行の改善状況

現場の取引慣行について、改善していると感じるか
主な意見

・売買の性質上、買主が強くなることが多く、売主もそれを受け入れる慣習があるため、ある程度対等な立場を意識した関係性作りを意識して日々のやり取りを実施している。

・以前より改善されているが、古い考えが残っている中小企業の取引先は取引慣行が根強く残っていると感じる。

・この調査に協力することで、問題が解決されるとは思えない。問題がある企業に対し、大々的な発表やペナルティを課した事例の発信を増やしてほしい。

・取引先は私たち営業に対してとても強気な態度であり、半分脅しのように価格交渉をしてくるケースも多々ある。業界全体で変わっていかなければならない。

・もっと強く取引先企業に対して働きかけを行なうべき。何年も状況は変わっていない。

14の問題となり得る取引事例のうち1つでも「問題あり」と答えた人のうち、964件(65.0%)が「変化は感じない」と答えており、50件(3.4%)は「悪くなっている」と答えている。

現場で働く者が実感を得られるよう、公正な取引慣行の実現に向けた取組みを強化、徹底する必要がある。