”期限を区切り、強いリーダーシップのもとで「年収の壁」解消を”

 

岸田総理大臣 田村議員

岸田総理大臣に「年収の壁」解消を促す田村議員(右)

 

 2023年5月9日、田村まみ組織内参議院議員は厚生労働委員会で質疑を実施。本委員会では、岸田文雄内閣総理大臣、加藤勝信厚生労働大臣に質問を投げかけました。

 

 質疑の前半では、岸田総理大臣に対する質疑を実施。田村議員は、ゴールデンウィーク期間を活用し、国内の流通・サービス業の店舗を視察した際に、多くの従業員から「人手不足」が訴えられたことに言及。具体的には、「この春、賃上げを実現できた事業所においても『人手不足』の声が多かった。また、3月27日の予算委員会で『年収の壁』解消に関する質疑を報告すると、『いつまで頑張れば良いのか』といった悲痛な声が寄せられた」と訴え、「岸田総理大臣は、『年収の壁』解消について『あらゆる機会に働きかける』と答弁していた。この間、『年収の壁』解消について、政府としてどのように働きかけを行ってきたのか」と質しました。これに対し、岸田総理大臣は「予算委員会の後、政労使の会議や関係者との意見交換で、ご指摘の点について働きかけを行ってきた」と回答しました。これを受けて、田村議員は「多くの方に聞こえ、見える形で、強いリーダーシップを持って働きかけを継続してほしい」と重ねて求めました。

 次に、田村議員は「第3号被保険者」の見直しを取り上げました。具体的に、田村議員は岸田総理大臣が先の予算委員会で「被用者が新たに『106万円の壁』を越えても手取りの逆転を生じさせない取り組みの支援をまず導入し、さらに制度の見直しに取り組む」と答弁したことを指摘。これをふまえ、「具体的にどのような支援を導入するのか?。また、制度の見直しの内容と期限をどのように考えているのか」と質問を投げかけました。これに対し、岸田総理大臣は「ご指摘の内容については、厚生労働省で議論を深め、具体的な支援策について検討を進めている。できるだけ早くお示ししたい」と回答。これに対し、田村議員は「生産年齢人口に大きく関わる問題なので、就労調整に関わる本問題について、職場で働く従業員の理解も得られるように、どのような見通しなのかを早めに示してほしい」と求めました。

 続いて、田村議員は国民皆保険制度を支える被用者保険の財政難に言及。とりわけ、「扶養者」の基準を取り上げ、現役世代の高齢者への拠出金負担が大きくなり、多くの健康保険組合が破綻しかねない状況のもと、「長期構想として時間軸を意識した医療制度改革を前提として、国民皆保険制度の改革について議論する必要があるのではないか」と訴え、岸田総理大臣の認識を問いました。これに対し、岸田総理大臣は「医療保険制度に関しては、経済社会情勢の変化に応じ、受益と負担の均衡を意識しながら、速やかな検討を行う必要がある。国民皆保険制度の維持のために不断の見直しを行う」と回答しました。田村議員はこれを受け、「不断の見直しは当然。期限を区切った抜本的な改革が必要」と指摘しました。

 

「年収の壁」解消を目ざし、具体的な制度の変革を促す

 

加藤大臣 田村議員

加藤厚生労働大臣に質問を投げかける田村議員(右)

 

 質疑の後半、引き続き田村議員は加藤勝信厚生労働大臣に対し、「年収の壁」解消に関する課題について質しました。具体的には、JILPT(労働政策研究・研修機構)実施の調査などを引用しながら、「健康保険については、配偶者が扶養から外れた途端に保険料負担が生じる。残念ながら、現在、扶養の範囲内で働く者にとって給付内容は決して期待できるものではないと映っている。働き方に中立な税・社会保障制度の構築を目ざし、この『扶養』の制度について、政府として手を打っていく必要があるのではないか」と投げかけました。さらに、田村議員は「『壁』を解消するうえで、国民健康保険の仕組みが参考になるはず。具体的には被用者健康保険の保険料についても、受益に応じた応益割りと、負担に応じた応能割りを組み合わせた仕組みにすべきではないか」と提起しました。これに対し、加藤大臣は「『年収の壁』解消に関しては、公平感を大切にしていくべき。ご指摘の内容については、現行制度の趣旨や費用負担を考えると難しいと考えている。また、『いつまでに』と確答することが難しい課題であるが、再三にわたり『年末になると就業調整が多い』とのご指摘をいただいているので、それを認識しながら対応を急いでいきたい」と回答を行いました。加藤大臣の回答をふまえ、田村議員は「『決まってから実現するまで』が一番時間がかかる。『早くしなければ』という認識を共有できたことはありがたいが、期限の目途は必要」と重ねて訴えました。

 その他、田村議員は医療費の適正化などについても質疑を実施しました。

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