”介護従事者の処遇改善をより一層進展させる”

 

田村議員

「介護従事者の処遇改善は急務」と訴える田村議員

 

 2023年6月1日、田村まみ組織内参議院議員は厚生労働委員会で質疑を行いました。冒頭、田村議員は介護業界における人材確保と処遇改善を取り上げました。

 具体的には、現在、社会保障審議会介護保険部会で第9期介護保険事業の基本指針が議論されているなかで、「介護人材確保」に関して「現在の介護職員数」を資料として示さずに議論が進んでいる点に疑問を呈し、「離職者数や現在の介護従事者の年齢構成などを示さずに、『人材不足』に関して実効性ある議論ができるのか」と投げかけました。これに対し、加藤勝信厚生労働大臣は「介護職員数は毎年、都道府県別に公表されており、各自治体における介護事業計画の策定にはこれが生かされている。部会でもこうした資料を頭に入れて議論が進んでいるものと承知しているが、ご指摘の点もふまえ、必要な資料があれば追加していきたい」と回答を行いました。加藤大臣の回答に対し、田村議員は「介護業界の人手不足を解消し、生産性の向上をはかっていくなかで、介護職員数などの実数を反映させる必要がある」と重ねて訴えました。

 

 続いて、田村議員は介護業界において、原燃料費を含む物価高騰がある一方で、これらの物価高を価格に反映できず、経営的に厳しい状況が続いていることに言及。「政府は地方交付金の積み増しなどで、物価高騰対策を行っているが、これでは不十分なのではないか」と問い質しました。これに対し、加藤大臣は「ご指摘のとおり、地方交付金の積み増しなどで物価高に対応するようにしているが、交付金の使途は地方の裁量となっており、自治体でバラツキがあるのも事実。今後の介護報酬改定へ向けて、現場の実態や好事例などを注視しながら、対応をはかっていきたい」と回答。これを受けて、田村議員は「今後の介護報酬改定へ向けた実態調査も重要だが、そこまでもたない企業もある。優先順位を自治体に委ねることも大切だが、この間にも地域の介護を支える職員がどんどん他業界に流出しており、一度流出すれば戻ってくる可能性は少ないと考えられる。小規模の事業所への情報発信など、地域任せにせずに対応してほしい」と求めました。

 

 介護に関する質問の最後に、田村議員は介護報酬改定や政府の補助金により9000円(3%)の賃上げが実施されたことにふれ、「これで他産業と比較して、そん色ない賃金実態となったと認識しているのか」と質しました。これに対し、加藤大臣は「介護業界は他産業と比較して、賃金実態などが低位にあると認識している。政府の賃上げへの後押しにより、その格差はある程度は縮小したものと認識しているが、今後もリスキリングや人への投資もふまえ、関係省庁や官民で連携し対応したい」と回答しました。これをふまえ、田村議員は「介護従事者について、依然として他産業より低位にある実態は変わらない。他産業との比較においては、よく『勤続10年の介護福祉士』をサンプルに比較していることが多い。実際に、他産業で国家資格を有し、10年間勤務した者との比較し、そん色ない賃金実態や処遇となっているか判断し、適切な対応をはかってほしい」と強く訴えました。

 

『年収の壁』問題の解決と、短時間労働者のセーフティーネット構築を

 

田村議員

『年収の壁』問題やカスハラ対策を質す田村議員

 

 その他、本厚生労働委員会で田村議員は、『年収の壁』問題についても質疑を実施しました。具体的には、雇用保険を取り上げ、政府が適用拡大を推進する方針を有していることをふまえ、「このほど、大幅な賃上げが継続する一方で、現場ではパートタイマーによる就業調整が依然として課題となっている。これにより、労働者本人の希望に関わらず、雇用保険から外れてしまう可能性がある。短時間労働者のセーフティーネットを構築する観点からも、適用拡大へ向けて経過措置等を設けるべきでは」と投げかけました。これに対し、加藤大臣は「まずは『年収の壁』によって就業調整をしなくて済むような措置を模索している。現行制度を活用しながら、安定した雇用につなげていきたい」と回答しました。

 

 この回答を受け、田村議員は「例えば、『労使双方の合意で任意加入できる』といった制度を設けることがはできないのか」と提起しました。この提起に対し、田中誠二職業安定局長は「現行制度では、一定条件を満たすことで強制適用となっている。ご指摘の労使合意による任意加入は理論上は可能だが、現在のわが国の制度上では困難な課題があると考えている」と回答。これに対し、田村議員は「困難な課題を乗り越える議論をしていきたい。これまで頑張ってきた短時間労働者が、雇用保険から外れてしまうといったことがないように、制度の見直しを検討してほしい」と要望しました。

 最後に、田村議員はカスタマーハラスメント対策について、民間実施のアンケート調査を引用しながら、企業におけるカスタマーハラスメント対策の実施状況を質しました。

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