◆取り組み概要
総合サービス部門とフード連合は、健全なフードバリューチェーン(生産者~食品製造~物流~卸~小売・外食~消費者までの食の連鎖)の実現に向けて、2003年より「取引慣行に関する実態調査」(下段※1)を実施し、そのアンケート結果を元に、中央省庁(公正取引委員会、農林水産省、中小企業庁、消費者庁)や政党(国民民主党、立憲民主党)への要請、流通小売業界団体との意見交換などを通じて、公正で適正な商取引の実現に向けた取り組みを進めています。
◆2023年度の取り組み
今年度は、連合ブロック連絡会、UAゼンセン(総合サービス部門、ブロック)、フード連合(産業政策局、ブロック)の3組織合同にて、全国の公正取引委員会事務総局および支所に対し、4点(下段※2)について適正取引の実現に向けた要請行動を実施しました。
【公正取引委員会地方事務所要請先】
2023年 3 月16日(木)公正取引委員会近畿中国四国事務所(大阪)
2023年 6 月16日(金)公正取引委員会事務総局九州事務所、九州経済産業局(福岡)
2023年 6 月27日(火)内閣府沖縄総合事務局総務部 公正取引室(沖縄)
2023年 7 月26日(水)公正取引委員会事務総局中部事務所(愛知)
2023年 8 月23日(水)公正取引委員会近畿中国四国事務所四国支所(香川)
2023年 8 月29日(火)公正取引委員会東北事務所(宮城)
2023年 8 月30日(水)公正取引委員会近畿中国四国事務所中国支所(広島)
全国7カ所の公正取引委員会地方要請行動を通じて、アンケート調査結果の3,135件の問題となり得る事例の内、「原材料価格等の上昇時の取引価格改定」が474件と一番多く、次いで「従業員の派遣、役務の提供(不当な労務提供)」439件が発生している状況を説明した上で、原材料費・エネルギー費高騰による製造単価はある程度価格転嫁は進んでいるものの多くの食品メーカーでは労務費の価格転嫁までは出来ておらず、食品業界全体の取り巻く状況はより厳しい状況であることを共有しました。
公正取引委員会では、独自に企業に対して「優越的地位の濫用に関する緊急調査」を行い、回答結果より問題ありと判断した13社については企業名の公表をする等の対応を行っていますが、下請代金支払遅延等防止法、独占禁止法違反のない社会の実現に向けてより一層取り組みを強化していくことを確認しました。
※1 取引慣行に関する実態調査とは、食品製造業の営業担当の組合員を対象に、流通・小売業者との商取引において、14の問題となる事例を元に優越的地位の濫用行為が行われていないかどうかをアンケート調査にて実施。
※2【要請内容】
1.「取引慣行に関する実態調査」で明らかになった優越的地位の濫用行為の事例をふまえ、当該の小売業者等に対して改善を図るよう指導するとともに、法令遵守の徹底を図る。
2.労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を適切に価格転嫁できるよう「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化パッケージ」の着実な実施や、その他必要な強化策を検討・実行する。
3.優越的地位の濫用等の行為に対する告発納入業者および告発者の保護の徹底を図る。告発者に対する報復行為等が行われないように、その周知・指導・監視の強化を行う。
4.「大規模小売業告示」や「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」について、小売業者はもとより卸売業者にも現場段階での周知徹底および指導強化を図る。