UAゼンセンとJEC連合が共同で設立した「ヘルスケア産業プラットフォーム」の第2回総会(11月4日)において、ヘルスケア産業プラットフォームのミッション・ビジョンが策定されました。

ヘルスケア産業プラットフォーム2025年ビジョン

《ビジョン策定の背景》
日本では急速に少子高齢化が進展し、社会保障費の伸びをいかに抑えるかが大きな政策課題となっている。このようななか、2018年には薬価制度の抜本改革が行われ、製薬業界には非常に厳しい改革となった。この結果、国内医療用医薬品市場は先進国で唯一のマイナス成長が見込まれている。
一方、医療・医薬品・医療機器を戦略産業として育成することが政府方針として定められており、経済活性化の一翼を担うことが期待されている。また、予防対策、健康寿命の延伸が重要との認識の下、次世代ヘルスケア産業の創出に向けた取り組みも始められている。
OTC医薬品市場においては、インバウンド需要が一段落し、将来に向けて継続した市場の成長には国内市場の本格的な活性化が求められており、OTC医薬品を活用したセルフメディケーションの推進の重要性が高まってきている。
医薬品卸では、独特の流通慣行による課題が山積しているものの、毛細血管型のきめ細かな流通網を形成し、非常時においても医薬品の配送に期待が寄せられている。
こういった環境変化をふまえ、各社は生き残りを賭け、選択と集中、分社化、アウトソーシング、オープンイノベーションといった施策を実行し、ビジネスモデルを変更している。また、他産業からの参入やM&Aも数多く起きている。このように医薬関連産業の構造が変化してきている一方、国民の健康と生活の安心を守り、持続的な社会を実現していくためには、医薬・医療機器・化粧品を含むヘルスケア産業の健全な発展が重要である。そして、そこに働く労働者の尊厳が尊重され、社会的地位の向上が実現されなければならない。
そのために、私達は、現状の産業別組織の枠組みのなかで中小労組を含めて働く者すべてのための労働運動を展開しつつ、医薬・医療機器・化粧品を含むヘルスケア産業の研究開発・製造・販売・医療現場に働く者のために、産業別組織を横断して各種政策を推進することを目ざし、今般、「医薬・医療機器・医薬品卸・OTC・化粧品関連労組政策推進共同協議会(総称;ヘルスケア産業プラットフォーム)」を設立した。
今後も加速していくであろう環境変化のなかにあって「ヘルスケア関連産業の多様な労働組合が結集し、政策実現活動を推進することで、産業の健全な発展を促し、人々の健康で幸せな生活に貢献する」という使命を果たすためには、今後私達が目ざすべき姿を明示し、その実現へ向けて仲間が結束して、力強く活動を進めていかなければならない。また、ヘルスケア産業を取り巻くすべてのステークホルダーに私達の活動の目的や重要性、さらには私達が直面している雇用問題などの課題についても理解を得なければならない。このような考え方にもとづき、ここに「ヘルスケア産業プラットフォーム2025年ビジョン」を策定する。

《ミッション》
ヘルスケア関連産業の多様な労働組合が結集し、政策実現活動を推進することで、産業の健全な発展を促し、人々の健康で幸せな生活に貢献する。

《ビジョンⅠ:広い視野に基づく産業代表機能の発揮》
ヘルスケア関連産業は、製薬、医療機器、OTC、医薬品卸、化粧品など多様な機能・業種がバリューチェーンのようにつながっており、人々が健康で安心して生活を営むうえでどの機能も欠かすことができない。ヘルスケア産業プラットフォームは、多様な仲間の声を背景に、偏りのない、俯瞰的な視点での産業代表機能を発揮し、国民および生活者の視点での政策提言を行っていく。

《ビジョンⅡ:多様性を背景とした変革の推進》
世界に例を見ない超高齢化社会に突入する日本において、今後も持続可能な社会保障制度を確立していくためには、中長期の視点でのあらゆる変革が求められている。ヘルスケア産業プラットフォームでは、多様な背景や価値観を有する仲間の英知を結集し、日本社会や産業の構造変化に対応し、変革をリードしていく。

《ビジョンⅢ:働く者の雇用と生活の安定の実現》
私達は、社会インフラの一端を担う、健康関連産業に従事しているとの自覚のもと、日々誇りと尊厳をもって働き、成長することでヘルスケア関連産業の発展に貢献していく。また、その結果として産業で働く仲間の経済的、社会的地位の向上をはかるとともに、雇用と生活の安定を実現していく。

以上

RELATED関連記事