佐野研究員の講義では、具体的な職場改善事例を掲げ、自身が効果的と感じる事例に投票を行った。写真は会場の様子(Web参加者はZoomの投票機能で参加)

 トップ写真は対馬医師による講義の様子。

 

 現在、職場における従業員の健康に関する取り組みは、従来の「確保」から「保持増進」が強く求められるようになるなど、より重要度が増しています。一方、政府の調査では仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者が半数を超えているといった結果が出されており、企業においてもメンタルヘルス対策が重要な取り組みの一つになりつつあります。また、社会全体で女性活躍への期待が高まるなかで、健康における性差について理解を深めることが求められています。

 

 UAゼンセンはこのような状況をふまえ、20221027日に「2023年 秋の安全衛生担当者学習会」をWeb併用で開催し、加盟組合労使から80名超が参加しました。

 学習会の冒頭、主催者を代表し、松井健労働条件局長が「見舞金制度の申請・支給状況などを見ると、大変残念ながらメンタル不全による休業や自殺などの事例が一定数存在している。労働組合としても安全衛生委員会などを中心に、メンタルヘルス対策などにきょうから取り組みをスタートさせる必要がある」旨、挨拶を行いました。

 

 学習会のなかでは、最初に大原記念労働科学研究所の佐野友美研究員から、「メンタルヘルス一次予防対策としての参加型職場環境改善の進め方」と題した講義をいただきました。佐野研究員は、仕事に関連したストレスモデルを挙げ、職場のストレスの軽減のためのメンタルヘルス対策のなかでとりわけ、一次予防の重要性を強調。そのうえで、職場の構成員が協力しながら、一次予防につながる職場改善を職場全員で行う「参加型職場環境改善」について実践的なツールにふれつつ、効果的な運用方法について解説いただきました。佐野研究員は「ツールなどを自組織の状況に合わせてアレンジしながら、小さなことからでも、参加型の改善をできることから取り組みを進めてほしい」と講義を締めくくりました。

 

 続いて、「人生100年時代の働く男女の健康を守るために~今なぜ女性の健康が問題か?~」と題し、医療法人社団ウィメンズ・ウェルネス理事長の対馬ルリ子医師(産婦人科)から講義をいただきました。対馬医師は時代の流れから、女性のライフサイクルが変遷しており、女性特有の健康トラブルも多様化していることに言及し、ヘルスリテラシー(健康力)の重要性を指摘。さらに、女性と男性の身体機能やホルモンの違いなど、踏み込んだ説明とともに、健康における性差について解説いただきました。加えて、対馬医師は「働く女性の現状や男女それぞれが罹患しやすい病気について、早いうちから理解を深めながら、健康経営やダイバーシティの観点も生かしつつ、一人ひとりがイキイキと働ける環境づくりの取り組みを進めるべき」旨、訴えました。

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