田村まみ議員による質疑の様子(右)と答弁する岸田総理大臣(中央)と加藤大臣(左)
2022年11月11日、参議院において本会議が開催され、国民民主党・新緑風会を代表し、田村まみ組織内参議院議員が質疑を行いました。
感染症法改正に関して、必要性と実効性を質す
冒頭、田村議員は新型コロナ感染拡大から約3年を迎え、一旦は小康状態を迎えた感染者について、ふたたび増加傾向が見られることから、感染拡大の第8波への懸念が高まっていることに言及。そのうえで、新型コロナ禍のもとで、感染症医療に関する司令塔の不在や事業者への営業自粛のあり方などの一体的・複合的な課題が依然として存在していると指摘しました。
それをふまえて、今国会において感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)の改正が急がれている一方、新型インフルエンザ等対策特別措置法については来年の通常国会での改正を予定していることを取り上げ、「新型コロナ感染拡大に関する課題は相互に関連しており、感染症法と新型インフルエンザ等対策特別措置法を分離し、改正の議論を進める必要があるのか。また、改正される感染症法の大部分は2024年4月施行となっており、インフルエンザとの同時流行に備えた病床確保などに対応できないのではないか。本来は両法をまとめて改正する必要があるにも関わらず、感染症法のみを先行して改正する理由はなにか」と問題提起しました。
次のパンデミックに備え、医薬品等の確保対策などを求める
続いて、田村議員は薬価改定に関する質疑を実施。「新型コロナ感染拡大で、わが国の創薬力や医薬品の流通体制が弱体化したことが浮き彫りとなった。引き下げありきの薬価改定は、医薬品事業者のわが国における経営持続性をおびやかし、今後のパンデミックへの備えに対する弊害が懸念される。医療分野における安全保障の観点からも、必要な医薬品等の国内製造へ向けて、設備投資への支援のみならず、平時における製造過程の維持・監理、医薬品の備蓄などにも支援が必要なのではないか」と訴えました。
その後、田村議員は具体的な法律案の内容について、各都道府県の策定する予防計画の記載事項の拡充、新規数値目標の設定などに関して、各自治体が策定する他の計画等との重複などを指摘し、実効性や必要性について政府の見解を問いました。
”次の感染拡大を想定し、万全の備えを”
田村議員の質問を受けて、岸田文雄内閣総理大臣は「新型コロナ感染拡大で明らかになった課題をふまえ、国民生活をパンデミックから守るため、政府として必要な枠組みを確立するために感染症法を改正することとした。感染防止対策の主体となる地方自治体には一定の準備期間が必要であることに鑑み、早期に取り組みに着手することができるように感染症法改正の先行を決定した。薬価改定に関しては、今後の創薬イノベーションと国民皆保険の両立をはかりながら取り組んでいきたい。各都道府県の策定する予防計画については、新型コロナ感染拡大で明らかとなった課題をふまえ、平時からの備えを確実に推進するために、病床確保などの数値目標を含む計画の策定を求めることとした。本計画については連携協議会などでの定期的フォローアップで実効性を担保したい。感染症対策に必要な物資については、司令塔機能を有する『内閣感染症危機管理統括庁』を創設し、対応を進めたい」等を答弁しました。
また、加藤勝信厚生労働大臣は「地域の医療体制の確保などの観点から、都道府県が策定する予防計画と医療計画で相互に整合性が取れるようにする。感染症対策に必要な物資に関しては、必要に応じて円滑に物資がいきわたるように事業者への各種要請が可能となるようにすることで、実効性を担保する」等の回答を述べました。
今回の本会議で議論された「感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)」では新型コロナ感染症に関する入院措置などについて規定されている。一方、新型コロナ感染拡大時における緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、事業者への休業要請、営業自粛要請などについては「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に規定されている。