さまざまな課題を取り上げ質疑を行う田村まみ議員(左)と答弁する加藤大臣(右)
業種別ガイドラインも活用し、マスク着脱の明確な基準の確立と周知へ
2022年10月27日、田村まみ組織内参議院議員は厚生労働委員会で質疑を行いました。質疑に先立ち、田村議員は「厚生労働委員会では、新型コロナ対策を初め、国民生活に密接にかかわる議題を取り扱っている。この委員会でしっかりと議論し、その過程を示すことが、政府が取り組む施策に関する一番の周知・広報になると思う。さまざまな課題についてしっかりと議論をしていきたい」と自身の決意を語りました。
その後、田村議員は新型コロナ感染防止対策のうち、とくにマスクの着脱基準を取り上げ、質疑を行いました。具体的には、厚生労働省が発出する通知等に関して周知が不十分な状況で、国民生活を支える公共交通機関や流通・サービス業の店舗などで、マスク着脱を巡り不要なトラブルが発生する危険性について言及。カスタマーハラスメントを防止する観点からも、「厚生労働省がしっかりと明確な着脱基準を確立し、周知することに加え、業界団体等が業種別に策定しているガイドラインにそれが明記されるように促し、チェックしていく必要がある」と訴えました。
これに対し、加藤勝信厚生労働大臣は「ご指摘の点につき、しっかりと周知していきたい。着脱基準は感染状況などをふまえ、不断に見直し、発信していきたい」旨、答弁を行いました。加藤大臣の答弁を受けて、田村議員は「現場の実態を把握している業界団体が策定した業種別ガイドラインのなかに、マスク着脱の基準が明記されることで、店舗などの現場では『業種別ガイドラインに沿ってマスク着用のお願いをしています』と対応できるようになる。ぜひ着脱基準が記載されるように促すとともに、進捗状況をチェックしてほしい」と重ねて要請しました。
「業種別ガイドライン」とは、新型コロナ感染拡大のなかで、感染拡大防止と社会経済活動の両立をはかることを目的に、各業界団体が、専門家や関係省庁の助言等をふまえ、業種ごとに適切な感染防止策を自主的にまとめたもの。2022年11月8日現在で、196個の業種別ガイドラインが存在している。
医薬品等の安定供給へ向け、オンラインで在庫状況共有の実現を
続いて田村議員は、厚生労働省の概算要求のなかから、製薬企業等の在庫状況共有に関する調査・研究事業に言及。新型コロナ感染拡大などの有事に際し、医薬品等の感染症対策物資等の供給不安を解消し、安定供給を実現する観点から、「医療機関同士で不足した医療品・医薬品の融通が可能となるように、製薬企業等だけではなく、医療機関等も対象に加え、オンラインで医薬品等の在庫状況の共有を進めてほしい」と求めました。これに対し、加藤大臣は「ご指摘の点について、在庫の偏在を防止するという観点から取り組んでいきたい」旨、回答しました。
また、田村議員は来年度に行われる薬価改定に関しても質疑を行いました。そのなかで、田村議員は医薬品関連の労働組合で構成する「ヘルスケア産業プラットフォーム」が実施したアンケートにおいて、実態として医薬品流通の現場で「過大な値引き交渉」や「在庫調整を目的とした返品」といった事例が報告された点を取り上げながら、「薬価改定の前段として、市場実勢価格(=医薬品卸売会社と保険医療機関・保険薬局との取引で実際に販売された価格)の調査が行われたが、このような現場のゆがみがあるなかで、調査結果にもとづく薬価改定を行うことに留意が必要ではないか」と提起し、加藤大臣の認識を問いました。
田村議員の提起を受け、加藤大臣は「国民皆保険の維持と創薬等のイノベーションの両立を目ざし、薬価改定に取り組んでいきたい」旨を答弁。これに対し、田村議員は「これまでの状況を見ると、薬価改定に際する4大臣(厚生労働、財務、経済再生、内閣官房長官の各大臣による)合意は、自然増する社会保障費を抑制するツールとなっているように思える。国民の命と健康を守る観点や医薬品関連産業とそこで働く労働者を守る観点もふまえて、薬価改定に臨んでほしい」と訴えました。
”働き方に中立な税・社会保障制度の確立へ”
最後に、田村議員は今般の全世代社会保障構築会議における議論にふれ、「被用者保険の適用拡大について、すでに決定している着実な実施とともに、さらに適用拡大を進めていくために速やかに検討・議論を開始する必要がある」と要請。「働く会社の規模によって社会保険の適用の有無が決まる不合理の是正に加え、労働人口の減少が進むなか、最低賃金の継続した上昇の片側で、つねに就業調整といった課題が存在している。とりわけ第3号被保険者について抜本的な見直しが必要」と訴えました。
これに対し、加藤大臣は「第3号被保険者については、女性の年金権確立などの観点から設けられたものであるが、社会情勢も変化してきた。引き続き適用拡大と並行して議論を進めていきたい」と答弁しました。
会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者に扶養される配偶者は「第3号被保険者」となり、自身で保険料を納付する必要はない一方、保険料納付済期間として将来の年金額に反映される。年収が130万円を超えると第3号被保険者から外れることから、「130万円の壁」として、この範囲内で就業調整する短時間労働者も少なくない。