2022年11月17日、田村まみ組織内参議院議員は、厚生労働委員会で質疑を実施しました。

 今回の質疑は、政府が早期成立を目ざしている感染症法改正に関して行われました。田村議員は本法改正に関し、11日に開かれた本会議においても、国民民主党・新緑風会を代表して質問を行っています。

 

加藤大臣 田村議員

質疑を行う田村まみ議員(右)と答弁する加藤大臣(左)

”医療に関わる各計画において整合性や調和をはかる”

 

 質疑の冒頭、田村議員は本会議での質疑をふまえ、「都道府県が策定する医療関連の計画としては、すでに医療法の医療計画、特措法(=新型インフルエンザ等対策特別措置法)の行動計画があるが、これに感染症法改正により予防計画が加わることで、都道府県においては3つの計画を策定することになる。本会議における質問で、それぞれの整合性をはかることは理解したが、具体的にはそれぞれの計画のどこが重複しており、どこを調和させ、整合性を持たせる必要があるのか」と、厚生労働省の各計画に対する整理状況を質しました。

 この問いかけに対し、加藤勝信厚生労働大臣は、「各計画はそれぞれ趣旨や目的が異なり、盛り込むべき項目にも違いがある。一方で、医療提供体制の確保に関わる事項など、それぞれ同様の内容も各計画に規定されており、こういった項目についてはそれぞれ別々に検討、記載するのではなく整合性をはかっていく必要がある。また、予防計画には数値目標を盛り込む項目もあるが、医療計画にはそような規定はない。こういった点も並行して策定の議論を進めるなかで、調和をはかり、整合性を取れるようにしていきたい」旨、回答しました。

“実効性のある医療提供体制の確立を”

 

 続いて、田村議員は医療提供体制について質疑。これまでの感染拡大のもとでは、介護施設においてクラスターが発生した場合に、入院先がないことから、陽性の介護従事者が陽性の入居者をケアしなければならないといった状況が見られたことに言及。これをふまえ、本改正後の医療提供体制について「今後の対応としては、介護施設入所者の入院できる医療機関(病床)を確保するのか、または介護施設における訪問診療などを充実させるのか、現時点での想定をうかがいたい」と質疑。

 これに対し、加藤大臣は「法改正によって基本的には入院が必要な方には、全員入院いただけるような医療提供体制の確立を目ざしている。一方、感染状況に応じて入所施設における医療提供の支援も行ってきた。今回の予防計画では、発熱外来や予防医療についても盛り込み、病床確保だけでなく、訪問診療などを含めた医療提供体制の確立を目ざしている。また、感染状況に変化があった場合には、内容の見直し・改変をしていくことも想定している」旨、回答しました。これを受けて、田村議員は「予防計画が敢えて別に存在している意味を考えると、『想定外』も計画のうちに入れておく必要がある。今後の計画では、状況に応じた改変で、パンデミック発生時のいわゆる『最悪な事態』を想定した計画とするべき」と重ねて訴えました。

 

厚生労働委員会

田村まみ議員の質疑に対する答弁を行う加藤大臣

田村まみ議員が言及した3つの計画

 

◎「医療法」にもとづく医療計画
 医療法第30条により、都道府県は厚生労働大臣の定める基本方針(=「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針」)に即し、地域の実情に応じた医療提供体制を確保するために「医療計画」を策定している。
【記載事項】…医療提供体制、医療従事者(医師を除く)の確保など

◎「新型インフルエンザ等対策特別措置法」にもとづく行動計画
 新型インフルエンザ等対策特別措置法・第6条は政府は、新型インフルエンザ等の発生に備えて、新型インフルエンザ等対策の実施に関する計画(=「政府行動計画」)を策定すると規定。また、同7条では、都道府県に対し、「政府行動計画」にもとづき、「都道府県計画」を策定することを規定している。
【記載事項】…医療従事者の確保、医療提供体制の確保、感染を防止するための協力の要請、まん延の防止に関する措置(緊急事態宣言、まん延防止等重点措置)など

◎改正「感染症法」により規定される予防計画
 感染症法の改正案では、平時からの備えを確実に推進するために、国の基本方針にもとづき、都道府県が策定する「予防計画」に関し、記載事項の充実をはかっている。
【記載事項】…医療提供体制の確保、保健所の体制整備、宿泊施設の確保、検査実施体制・検査能力の向上など(※一部項目については数値目標の設定も盛り込まれる)

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