介護従事者の処遇改善を求め、62万2365筆の署名を集約
署名簿を提出する日本介護クラフトユニオンの染川会長(中央)
現在、介護従事者の有効求人倍率は3.54倍(2023年5月時点。全産業1.31倍)と高止まり状態が続いており、深刻な人手不足を抱え、現場の介護従事者は心身ともに疲弊しています。少子高齢化の傾向は依然として継続しており、将来にわたって良質な介護サービスを確立するためには、介護従事者の処遇改善をつうじた介護人材の確保・定着が必要不可欠です。
このような状況をふまえ、日本介護クラフトユニオン(=NCCU。介護従事者が会社・職種・雇用形態の枠を超えて結集した労働組合。組合員数は約8万7000名)は、「2024年介護報酬改定に向けた署名」を実施。その結果、UAゼンセン加盟組合を中心に、62万2365筆の署名を集約しました。2023年10月18日、UAゼンセンは日本介護クラフトユニオンと共に、厚生労働省を訪問。宮崎政久副大臣に署名簿を提出し、介護従事者の処遇改善等を求めました。
"一枚一枚の署名簿に託された思いを政策実現に生かしてほしい”
宮崎大臣に署名の意義を力強く伝える田村議員(中列右から2人目)
冒頭、日本介護クラフトユニオンの染川朗会長が宮崎副大臣に署名簿を提出。「現場の声を政策に反映してほしい」と訴えました。これに対し、宮崎副大臣は「いただいた署名、皆さんの声を介護従事者の方々が置かれている状況の改善に生かしていきたい」と応じました。
その後、宮崎副大臣との要請のなかで染川会長は「介護業種は賃金面などで他産業と大きな隔たりがある。2023労働条件闘争では、各業種で大きな賃上げの成果が上がった一方で、介護業種との格差がさらに広がってしまった。人手不足も深刻な状況が続いており、介護施設のなかには人が足りないことで、対応可能な人数以下の受け入れしかできず、受け入れを断る事例も生じている。介護従事者の思いと危機感にご理解をいただき、即効性のある対応をお願いしたい」と強調。加えて、日本介護クラフトユニオンの村上久美子副会長も「政府は介護を成長産業と位置づけるなど、介護従事者の処遇改善に意識を向けていることはありがたい。しかし、残念ながら実際の対応は現場の状況に追いついていない。また、これまでの介護報酬改定のたびに加算・減算等が増えており、利用者・利用者家族をはじめ、介護従事者本人にとっても説明困難な状況にある。関係者全員の理解と納得を得られる簡素な制度に修正をすべき」と訴えました。
また、出席した田村まみ組織内参議院議員は、「今回の署名は、いま頻繁に利用されているオンライン署名ではなく、実際に各職場を回りながら、声かけをして、一枚一枚積み上げていった署名であり、『保険料は上がるかもしれませんが、いま介護が大変な状況なんです』との訴えに、多くの職場の仲間が応えた結果。このこともふまえて、署名の趣旨にご理解をいただきたい」と求めました。さらに、川合孝典組織内参議院議員は「介護現場の抱えている状況を明らかにし、それをしっかりと伝えていくこと。このことが介護従事者の処遇改善について、国民の理解を醸成することにつながるはず」と提起しました。
これらの要請に対し、宮崎副大臣は「いただいた署名・要請の趣旨は的確であり、そのとおりだと感じている。皆さんと同じ思いで介護業種が抱える課題を受け止めていきたい。また、今回いただいた声は厚生労働大臣に共有することはもちろん、政府でしっかりと検討していきたい。今回ご指摘いただいた内容を結果としてしっかり実現できるようにしていきたい」と回答しました。