”賃金と物価の好循環を実現しよう” 2025闘争方針素案を議論

 

永島会長

2025労働条件闘争へ向けて決意を語る永島会長

 

 2024年11月6日、UAゼンセンはオリエンタルホテル東京ベイ(千葉県浦安市)をメイン会場に、Zoomを併用する形で「2025政策フォーラム」を開催。2025労働条件闘争方針の素案に関する討議を行いました。

 

 冒頭、永島智子会長は挨拶のなかで、「私達は2023・2024闘争において、大幅な賃上げを獲得したが、この間の物価上昇をふまえるとまだ実質賃金の引き上げには至っていない。また、企業規模間格差の広がりも課題として明らかとなっている。実質賃金の上昇を実現し、それを定着させ、日本経済を継続的に成長させていくため、加盟組合で一丸となって2025闘争に取り組む必要がある。そのために、足元の業績や経済の動向ではなく、労働組合としてみずからの行動で『賃金と物価の好循環』をつくり出す覚悟を全体で共有し、2025闘争に臨みたい」と決意を語りました。

 

 その後、連合総合生活開発研究所の市川正樹所長を講師に招き、「日本経済の現状と見通しをふまえた賃上げと生産性向上の必要性」と題した講演を実施しました。市川所長は、各種統計資料などを示しながら、新型コロナ感染拡大を起点に、現在に至るまでの雇用情勢や物価の高騰などを含め、日本経済の状況を解説。また、UAゼンセンが取り組む「適正な価格転嫁」の実現にも言及し、関連制度や日本全体の進捗状況を共有したうえで、政府の最新の議論を説明しました。

 

”UAゼンセンの総力を挙げて実質賃金の上昇に取り組む”

 

全体討議

全体討議で発言する西尾書記長

 

 講演後、松井健労働条件局長が「2025労働条件闘争の考え方」を提起しました。具体的には、2025闘争を企業規模や産業に関わらずに生活向上を実感できる実質賃金の上昇を定着させ、日本経済を賃金と物価の好循環のもとで「活力ある成長軌道」に乗せていくための正念場と位置づけることを強調。そのうえで、中長期的に人手不足が続いていくことを見据え、魅力ある労働条件で労働者の働きがいを高める必要性を指摘しました。さらに、2023・2024闘争で拡大した企業規模間格差に歯止めをかける取り組みを強化することなどを示しました。

 

 これらをふまえ、2025賃金闘争では、正社員(フルタイム)組合員の要求基準として「賃金体系が維持されている組合は、賃金体系維持分に加え4%基準、賃金体系が維持されていない組合は、6%基準で賃金を引き上げる。ただし、要求額としては、格差是正分を含めて、賃金体系維持分に加え12,000円、賃金体系が維持されていない組合は16,500円に達するよう積極的に取り組む」ことを掲げました。また、短時間(パートタイム)組合員については、「制度昇給分に加え、時間額を60円、5%基準で引き上げる。制度昇給分が明確でない場合は、制度昇給分を含めて時間額を80円、7%を目安に引き上げる」ことを要求基準として示しました。

 

 その他、2025期末一時金闘争や労働時間の短縮・改善に加え、総合的な労働条件の改善として、職場のジェンダー平等の推進や仕事と生活の両立支援の取り組み、職場のハラスメント対策などについても、要求する内容などを共有しました。また、製造産業・流通・総合サービス各部門の事務局長からは、各部門の方針や取り組みを報告。報告後には、闘争方針素案に関して質疑応答を含む討議を行いました。

 

 最後に、西尾多聞書記長は「参加者のていねいな議論に感謝する。実質賃金の向上には、加盟組合一丸となって取り組む必要がある。引き続き、部門・都道府県支部での討議が始まるが、皆さんからいただいた声にもとづき、論点を整理しながら方針を策定し、2025闘争を進めていきたい」と本フォーラムを締めくくりました。

 

 なお、2025労働条件闘争方針は部門や都道府県支部での討議を経て、来年1月開催の第13回中央委員会で決定します。また、本フォーラムにおける質疑応答の内容は『UAゼンセン新聞』11月21日号に掲載します。

 

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