企業規模間の格差是正のため、適正な価格転嫁をより一層推進する

 

省庁要請

田村まみ議員同席のもと、関係省庁に調査結果を報告した

 

 UAゼンセンは2023・2024賃金闘争において大幅な賃上げを獲得しました。一方で、この間の賃上げによって、企業規模に応じた格差が生じています。中規模・小規模の事業者が持続的・安定的に賃上げを実施していくためには、労務費等を適正に価格転嫁することのできる環境づくりが重要です。その実現へ向けて、UAゼンセン製造産業部門は、加盟組合の協力のもと、過去4回にわたって価格転嫁に関する状況等を調査しており、このほど調査結果を取りまとめた冊子を発行しました。

 

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 UAゼンセン製造産業部門は、エネルギーや原材料価格の高騰を受け、中小事業者を含め、社会全体で製造コスト上昇を適切に価格転嫁できる環境の実現を目ざし、加盟組合企業における価格転嫁の実態調査を実施。調査結果を組織内・準組織内議員に共有するとともに、関係省庁やマスコミに対する情報提供を積極的に行うことで、政府の取り組み強化と世論喚起に努めています。

 

 また、製造産業部門は本調査結果の取りまとめに先立ち、2024年10月1日、参議院議員会館において、公正取引委員会・中小企業庁に対し、第4回調査(2024年7~8月)にもとづく意見交換を行いました。本意見交換には、田村まみ組織内参議院議員も出席。「価格転換について、中小企業や地方自治体の取り組みを強化し、”いま、労務費等を含めた適正な価格転嫁が必要である”という認識を社会全体に広げてほしい」と訴えました。

 

 UAゼンセンの訴えに対し、公正取引委員会は「賃上げや価格転嫁の規模間格差などが示された調査結果は貴重。格差是正につながる政府施策の広報活動を強化していきたい」、中小企業庁は「税制優遇や補助金などの支援策活用を促し、中小企業を支えていきたい」などといった意見が交わされました。

 

調査結果(概要)◇2023・2024賃金闘争で高水準の賃上げが実現した一方で、企業規模間の格差が拡大している。
◇日本経済全体が「賃金と物価の好循環」のもとで成長していくためには、中小事業者が賃上げ原資を確保できる環境づくりが重要。そのためには、労務費の価格転嫁を実現する必要がある。
◇第3回・第4回の調査を比較すると、製造コスト上昇の要因として「労務費」「輸送費」といった人に関わる費用を回答する企業が増加している。
◇労務費の上昇要因について企業規模が小さいほど「物価高に対応した賃上げ」の割合が高く、企業規模が大きいほど「初任給改定」「採用競争」など積極的な人への投資の割合が高くなっている。
◇賃上げ原資について従業員100名未満の企業では「企業からの持ち出し」が依然として多い。
◇労務費の価格転嫁が進まない理由として「企業努力で吸収すべき」といった商慣習が依然として強く残っている。

 

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