”健康経営を日本経済を支える基盤とするために”
永島会長、川合議員、堂込議員がそれぞれ挨拶を行った
UAゼンセンには、スポーツ用品の製造・販売からスポーツ施設の運営まで、スポーツ産業に関連する労働組合が多数加盟しています。これをふまえ、UAゼンセンは第1回中央委員会(2013年1月31日)において、スポーツをつうじた働く仲間の健康増進とスポーツ産業の発展を目的に、「スポーツ産業政策」を策定。製造産業・流通・総合サービスの3部門で連携し、この実現を目ざしています。2024年12月16日には3部門合同で第7回「スポーツシンポジウム」を開催しました。
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今回のシンポジウムは「日本経済を支える基盤としての健康経営を目ざして」をテーマに設定。加盟組合労使ら119名が参加し、「健康経営」について理解を深めました。
冒頭、永島智子会長は、挨拶のなかで「私達、労働組合は長年、組合員の健康と安全を守り、より良い就業環境の実現を目ざして活動を進めてきた。『健康経営』とは、従業員の健康増進をつうじて、生産性を高め、企業の持続的な成長を実現する取り組みであり、個人の健康問題に留まらず、企業の競争力強化や社会全体の活性化につながる喫緊の課題と捉えている。労使でより一層の取り組みを展開していくことが必要であり、本シンポジウムをより良い職場環境をつくるきっかけとし、スポーツ産業政策の実現につなげていきたい」と述べました。
また、公務の合間を縫って駆けつけた川合孝典・堂込まきこ両組織内参議院議員もそれぞれ挨拶を行いました。川合議員は「現在、国民民主党としても、UAゼンセンのスポーツに関連する組合の皆さんと意見交換を行いながら、さまざまなスポーツ関連の政策実現をはかっている。引き続き、皆さんの声を形にできるように、皆さんの声を聴きながらしっかりと進めていきたい」と提起。さらに、堂込議員は「高齢化社会が進展するなか、現役世代の負担が増えているという声が多い。日本の元気を支えている働く仲間達が、健康でいきいきと仕事ができるような社会を構築できるように頑張っていきたい」と語りました。
健康経営を成功させるためには労働組合の参加・参画が必要
経済産業省、認定事務局それぞれの立場から健康経営の推進について講演を受けた
続いて、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課の山崎牧子課長補佐を講師に招き、「健康経営の足跡とこれから」と題した講演を行いました。山崎課長補佐はこの間の社会や人口の変化などを指摘しながら、労使で健康経営に取り組む必要性が増している状況を示し、「超少子高齢化社会のなかで、生産年齢人口(生産活動を支える15〜64歳の人口)は著しく減少している。これからは、戦後の右肩上がりのような形ではなく、人口が継続的に減少していく状態での経済を考える必要がある。経済産業省としては『健康経営優良法人』の認定など各種顕彰制度をつうじて、各企業の健康経営を後押し、将来的には健康経営を当り前にしていきたい」と提起しました。
その後、「健康経営優良法人」認定事務局を務める日本経済新聞社イベント・企画ユニットの中井睦之企画部長からも講演をいただきました。中井部長は「はじめよう!健康経営」をテーマに、具体的な評価項目を含む健康経営のフレームワークや申請スケジュールなどを共有し、「健康経営はトップダウンだけではうまくいかない。労働組合の積極的な参加・参画で、一人ひとりの従業員に健康経営の取り組みを浸透させることが成功のカギとなる」と期待を寄せました。
労働組合の視点から健康経営を考える
長谷工グループ、ウエルシアユニオンそれぞれの取り組みを共有いただいた
加えて、本シンポジウムでは加盟組合労使による事例紹介として、長谷工ウェルセンター(長谷工グループ労働組合)とウエルシアユニオンの2組織から報告をいただきました。
具体的には、長谷工グループ各社(40社・9000名)の福利厚生と健康推進を担う「長谷工ウェルセンター」の栗山核常務は、一定年齢以上の従業員に対する会社負担での「PET-CT検査」実施や「長谷工ヘルスチャレンジ(特定保健指導)」の展開など、同社独自の取り組みを報告。岡大貴福利厚生部・健康推進室チーフは、運動・スポーツ関連イベントとして労使で共催している「レッツエクサ!!」(=厚生労働省の定義する活動量を数値化した単位(エクササイズ)を基準に、社内イントラネット内で運動量を可視化し運動習慣を支援)やハイキング、ランニング企画といった取り組みを説明しました。また、長谷工グループ労働組合の佐藤忠明委員長は、「”グループ横通しの労組にしかできないこと”を実行する」を基本方針として、「グループ一体感の醸成に寄与できるような活動を行う」ことを目的に、労使共催で各種イベントを企画・運営していることを共有しました。
また、ウエルシアユニオンの新川佳秀中央執行委員・首都圏ブロック長は、アシックス(=アシックスユニオンはUAゼンセン加盟組合)の提供する心身の総合的な健康の度合いを測定・評価するプログラム「ASICS HEALTHCARE CHECK」の導入による効果を報告。新川ブロック長は「本プログラムを活用することで、一人ひとりが心身の健康度合いを確認することができるようになった。それぞれの従業員が自身の理想やライフスタイルに合った形で、日常生活に運動やスポーツを取り入れるきっかけとなっている。引き続き、本プログラムとユニオン独自の活動を合わせることで、従業員の健康意識の向上に努めていきたい」と強調しました。
最後に、スポーツ産業政策推進プロジェクトリーダーを務めるミズノユニオン・太田秀之委員長は、「一方、『健康経営』の推進は会社、従業員、社会の『三方よし』の取り組み。従業員一人ひとりの健康増進は生産性向上につながり、引いては企業価値も高めることができる。社会全体により良い価値を還元できるように、本シンポジウムをきっかけとして、より一層『健康経営』に取り組んでいきましょう」と本シンポジウムを締めくくりました。