AIチャット

十分な医療提供体制をすべての地域で実現するために

 

田村議員

医療法改正の経緯や改正内容について提起する田村議員

 

 UAゼンセンは政策・制度の実現を目ざして、国会・地方議会の各組織内・パートナー議員らが、さまざまなテーマについて議論する情報交換会を適宜開催しています。2025年10月31日・11月5日の両日、川合孝典・田村まみ・堂込まきこ組織内参議院議員および組織内・パートナー地方議員ら合わせて50名の出席のもと、「医療法改正に伴う地域医療体制の整備」「自治体における公契約に関する課題」の2点をテーマに情報交換会(Zoom)を開催しました。本記事では、主に11月5日の内容をお伝えします。※「パートナー議員」は本年度から新設された区分です。

 

 11月5日夕刻、情報交換会に先立ち、田村まみ組織内参議院議員が現在、国会で審議されている医療法の改正内容について報告を行いました。田村議員は医療法改正の趣旨や概要、地域に求められる役割などを解説。これをふまえ、「医療改正に伴い、地域ごとの医師の偏在への対応や都道府県が策定する地域医療構想にもとづく在宅医療や訪問介護との連携強化など、各地域において十分な医療提供体制を整備するための施策が求められている。地方議員の皆さんにも、住民の方々はもとより、さまざまな立場の方から多くの声が寄せられ、それぞれの地域における課題が浮かび上がってきていると思う。本情報交換会をつうじて、地域の実情を共有いただき、それを国会のなかでガイドラインなどの形で反映させていきたい」と呼びかけました。

 

 田村議員の提起に対し、山口県光市の小林隆司組織内市議会議員からは、「光市は4万8000名の住民がおり、市内には二つの公立病院を有している。一つは急性期、もう一つは慢性期と機能分担をしているが、両病院とも赤字状態が続いている。今後、資金がショートした場合は一般会計からの繰り入れも想定される。現在、医療法改正のもと、医療DX(デジタルトランスフォーメーション/デジタル技術を活用して、企業や組織の業務プロセス、ビジネスモデル、組織文化などを根本から変革すること)の推進がはかられるとされているが、当局には初期費用の捻出が課題という声が多く、国からの補助などで後押しが必要と感じている」という声が寄せられました。

 

 また、北海道苫小牧市の松井雅宏パートナー市議会議員は、「市立病院の経営は年々厳しくなっており、その背景には医療資材の高騰がある。残念ながら、診療報酬改定はこれに追い着いていない状況が続いている。診療報酬の考え方自体を見直さないと地方の市立病院の経営は成り立たたなくなる可能性がある。実際に、近隣の地域では職員の賃金引き下げなども行われており、事態は切迫している」と地域の実情を共有しました。

 

 これに対し、田村議員は「ご指摘いただいたとおり、診療報酬改定の考え方を見直すことは必要。一方、診療報酬改定を待たずに、今後議論される補正予算・本予算のなかで医療機関における賃上げ実現やDX推進に対する支援が付くことが大前提だと考えている。当面は、『重点支援地方交付金』の活用で対応することになるが、この活用方法は地域の裁量が大きい。医療分野に十分に振り分けられるためにも、地域の実情をしっかりと把握し、確証を持って要請していくことが重要。共に連携して対応していきたい」と応じました。

 

「公契約条例」制定で公契約のもとで働く仲間の労働条件向上を

 

情報交換会

各地域における公契約条例の策定状況などを共有した

 

 続いて、「自治体における公契約に関する課題」の情報交換に先立ち、UAゼンセン総合サービス部門の塩月豪人執行委員が、これまでのUAゼンセンの取り組みなどを報告しました。塩月執行委員は、公契約PTの議論経過や取り組みの方向性を示し、「国・地方自治体、住民、事業者、そこで働く従業員の全体が利益(メリット)を享受できる『好循環』を構築していく必要がある。そのために、国・地方自治体・世論の3つのカテゴリーに分け、組織内・パートナー地方議員の皆さんと連携しながら、公契約条例の制定や公契約の適正化に関する取り組みの推進している。現在、東京都において各行政区での公契約条例の制定へ向けた動きが進んでおり、総合サービス部門所属組合から2名が公契約条例の制定へ向けた会議体において、委員として参画している。今後、各地域でもこのような働きかけを広げていきたい」と提起しました。

 

 一方、埼玉県上尾市の海老原直矢パートナー市議会議員は、「上尾市では、条例ではなく『要綱』の形で公契約の適正化に取り組んでいる。現在、運用の部分で建設業には労務単価が制定されているが、サービス業は最低賃金に合わせるという形になっており、市は『自分達だけで適正な賃金水準を示すのは困難』としている。審議会の設置についても『労働団体からの申し入れがない』という回答があり、今後対応をしていきたい」と報告しました。

 

 加えて、UAゼンセン総合サービス部門公契約PTの座長を務めるコナミスポーツユニオンの馬越浩明委員長は、「総合サービス部門には、給食や施設管理、ビルメンテナンスなど、各自治体においてさまざまな形で指定管理者として業務を受注している加盟組合企業が多い。当然、十分な契約条件が確保されない場合は、人材の確保などが困難となり、入札の取りやめや更新をしないなどといった対応をせざるを得ない。また、人材確保が困難な場合、利用者の事故などを誘発してしまう可能性があり、公契約条例の制定による十分な報酬確保が急務となっている。組織内・パートナー地方議員の皆さんと連携し、一つでも多くの地域で公契約条例が制定されるようにしていきたい」と期待を寄せました。

 

 引き続き、UAゼンセンは組織内・パートナーの国会・地方議員と連携しながら、働く仲間の声にもとづく政策実現を推進していきます。

RELATED関連記事