質疑を行う堂込まきこ議員(右)と答弁する鈴木財務大臣(左)
”物価高騰を抑え、生活支援の実現へ” 政府に明確なビジョン確立を求める
2023年3月9日、財政金融委員会において堂込まきこ組織内参議院議員(茨城県選挙区)は、鈴木俊一財務大臣の大臣所信(=国会審議に当たり、政策の基本的な考え方を述べたもの)に関する質疑を行いました。
最初に、堂込議員はこの間の物価高騰と個人消費の冷え込みに言及。地元・茨城からも「物価高騰で生活が厳しくなっている」という声が寄せられていることにふれ、「財務省では、これまでの急速なインフレの進展の要因をどのように捉え、今後についてどのような見通しを持っているのか」と鈴木大臣の認識を問いました。これに対し、鈴木大臣は「このインフレの背景には、ロシアによるウクライナ侵攻など、国際情勢の変化や急速な円安があると認識している。また、今後は物価の上昇幅は一定の範囲で減少すると考えている。引き続き、総合経済対策を着実に実行し、物価高騰対策に努めたい」と答弁を行いました。
鈴木大臣の答弁を受けて、堂込議員は「現在、私達は、実に41年ぶりとなる物価高騰に直面している。一方で賃金は停滞状態にあり、これに追いついていない」と指摘したうえで、「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)(2013年)」のもと、「物価が安定的に上昇し、賃金も上昇していくという好循環をどのように実現するのか」と質しました。この問いに対し、松浦克巳内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長は「賃上げは政府が掲げる『新しい資本主義』における最重要課題。生産性向上への支援と価格転嫁の推進とともに、意欲ある労働者へのリスキリング(=職業能力の再開発・再教育)の後押しと円滑な労働移動などをつうじ、官民共同で取り組んでいきたい」と回答しました。堂込議員は重ねて「政府が掲げる目標について、国民に浸透するように明確なビジョンを示し、対応してほしい」と求めました。
さらに、堂込議員は自身が小売り業の店舗で働いていた経験にもとづき、「流通の現場では『より良い品物を手ごろな価格で提供する』ことを目標に掲げている。つまり、商品の価格は、消費者の視点という広い意味での社会的要請で決められている。物価高騰の対策などに当たり、政策立案の手前で流通業への定期的なヒアリングなどで実効性のある対策をはかってほしい。私自身も本委員会などをつうじ、現場の声を伝えていきたい」と提言しました。
正式名称は「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」。共同声明、アコードなどと呼称される。物価安定目標を前年比2%の上昇とし、金融緩和を推進することで早期にこの目標の実現をはかるとしている。
”地域全体で当事者に寄り添った子育て支援、ヤングケアラー対策を”
続いて、堂込議員は出生率の低下傾向が続いていることに言及。それをふまえ、岸田文雄内閣総理大臣が「子供・子育て支援の予算を倍増させる」と発言したことを取り上げ、これまでの間で具体的にどのような検討が行われたのかを質問しました。加えて、堂込議員は「子育て支援はもちろん、最近は介護を担う若者、ヤングケアラーへの支援も重要な課題となっている。茨城県でもヤングケアラー支援に関する条例が制定されるなど、地域で取り組みが進んでいるが政府はこの問題に対し、どのような認識でいるのか」と投げかけました。
堂込議員の投げかけに対し、和田義明内閣府副大臣は「少子化はわが国が抱える最も深刻かつ”先送りの許されない”課題の一つ。現在、経済的支援の強化を行うとともに、当事者を含む有識者らと議論を進めている。今後も広く当事者らの意見を聞きながら、ライフステージに応じた息の長い支援を実現していきたい」「ヤングケアラーを含む介護従事者の課題についても、当事者の視点を取り入れながら、必要な支援が行き届くように、官民で連携して取り組んでいきたい」などの答弁を行いました。また、厚生労働省の斎須朋之大臣官房審議官は「個々の家庭がさまざまな事情を抱えているので、きめ細やかな対策が必要と認識している。今後も、地域包括支援センターにおける相談会や交流会の実施など、地方と連携しながら、介護者を地域全体で支えるための対策を行っていきたい」と述べました。
2022年12月、茨城県で「茨城県ケアラー・ヤングケアラーを支援し、共に生きやすい社会を実現するための条例」が制定された。同条例ではヤングケアラーを含むすべてのケアラー(介護従事者)が社会から孤立することがないようにし、すべての県民が生きやすい社会を実現することを目的としている。