2024労働条件闘争へ向けた議論がスタートを切る
2024労働条件闘争へ向けた決意を語る松浦会長
2023年11月6日、UAゼンセンは東京ドームホテル(東京都・文京区)をメイン会場に、ZoomウェビナーとYouTube配信(傍聴用)で全国をつなぎ、「2024政策フォーラム」を開催。実質賃金を再浮上させ、日本経済をけん引する重要な意義を持つ2024労働条件闘争・賃金闘争を見据え、闘争方針の素案に関する討議を行いました。
冒頭、松浦昭彦会長は挨拶のなかで、「昨年の2023労働条件闘争では、正社員組合員で連合(日本労働組合総連合)平均を上回り、短時間組合員では社会水準をけん引するような成果を上げた。一方で、昨年の闘争では、中規模・小規模の企業に大きな差を生んでしまった。2024労働条件闘争では、このような昨年の闘争における課題をふまえ、より一層、賃上げに資する環境づくりや経営者との対話を行っていきたい。価格転嫁や内需の状況など、全てが順風満帆とは言えないが、『今次闘争が今後の日本経済を左右する』という認識を全体で共有しながら、継続的な賃上げに取り組んでいきたい」と決意を語りました。
その後、吉川洋東京大学名誉教授による「賃金と日本経済」と題した講演を実施(録画した講演を視聴)。これまで日本の賃金が辿った推移に加え、米国・欧州・中国などとの比較を交えた解説をつうじ、「日本のGDP(国内総生産)の60%は消費が占めている。この消費を成長させるためには、安定した実質賃金の引き上げと社会保障の改革が必要。労働組合は政府、企業と並んで社会にとって重要な組織であり、賃金や雇用はもちろん、社会保障や税制について積極的に情報発信などの取り組みをするべき」と呼びかけました。
”物価上昇を明確に上回る賃金引き上げを目ざす”
全体討議の様子
講演後、松井健労働条件局長が「2024労働条件闘争の考え方」を提起しました。具体的には、2023年度の賃金引き上げの流れをしっかりと継続し、2024賃金闘争では物価上昇を明確に上回る賃上げを労働組合が先頭に立って求めて行くことを目ざし、正社員組合員の要求基準として「賃金体系維持分に加え、4%基準で賃金を引き上げる」「賃金体系が維持されていない組合は、賃金体系維持分を含め14,500円または6%基準で賃金を引き上げる」ことを掲げました。また、短時間(パートタイム)組合員については、「制度昇給分に加え、時間額を4%基準で引き上げる」「制度昇給分が明確でない場合は、制度昇給分を含めた総率として時間額を6%基準、総額として70円を目安に引き上げる」ことを要求基準として示しました。
その他、2024期末一時金闘争や労働時間の短縮・改善に加え、総合的な労働条件の改善として、退職金(企業年金)改定や労災付加給付改定、定年制度改定(65歳への延長)、職場のジェンダー平等の推進などについても、要求する内容などを共有しました。
その後の全体討議のなかでは、出席者から2024賃金闘争における要求基準の表現や「年収の壁」への対応、構造的な賃上げの仕組みを実現し、それを支えるバックアップのあり方などに関して、質問や意見が投げかけられました。
最後に、古川大 書記長は「2023労働条件闘争においては、各組合の頑張りによって賃上げの流れをつくり出すことができた。2024労働条件闘争では、この流れをさらに広げ、より盛り上げるとともに、政策要請などをつうじた環境整備にも努め、賃金が上がっていく好循環を生み出していきたい。すべての加盟組合で一丸となって、働く仲間の声を背景に、より大きな流れをつくっていきたい」と締めくくりました。
なお、2024労働条件闘争方針は部門や都道府県支部での討議を経て、来年1月開催の第12回中央委員会で決定します。