2022年3月16日、参議院・厚生労働委員会が開催され、田村まみ組織内参議院議員が質疑に立ちました。田村議員は、国内の医薬品の安定供給に必要不可欠な役割を担う医薬品卸(おろし)事業者について、政府による出荷調整が原因となって現場が混乱していることを指摘。医薬品の安定供給へ向けた政府の迅速な対策を促しました。
具体的には、コロナ禍で平時にはないコスト・負担の増大が生じている状況を取り上げ、政府による財政支援の実施を求めました。田村議員の質疑を受け、島村大厚生労働大臣政務官は「医療機関や薬局と異なり、医薬品卸事業者は薬価の直接の影響を受けないため、財政的な支援を実施するハードルは高い。一方で、事業者の環境改善について、ガイドラインを活用しながら、単価交渉の後押しなどで対応していきたい」と答弁しました。また、田村議員は、業界団体と連携し、出荷状況を共有するシステムの構築について検討する場を設けるべきと訴えました。さらに、薬価改定に関して、現行の「調整幅」について、コロナ禍で苦境に立つ医薬品卸事業者にとって、不利益となる変更は避けるべきと提言しました。これに対し、後藤茂之厚生労働大臣は、「出荷状況の共有については、前向きに検討していきたい」と応じました。
続いて、田村議員は、国内で製造へ向けた準備が進められている米国・ノババックス社のコロナウイルスワクチンについて、薬事申請が遅れている点を指摘。そのうえで、現在のウクライナ情勢などの影響から、ワクチン製造および安定供給に必要な原薬、原材料、資材の確保が困難になることへの懸念を示し、他省庁とも連携した対応を求めました。後藤大臣は「これまでもコロナ禍という有事に対し、他省庁と連携した対応を行っている。これからもしっかりと対応していきたい」と答弁しました。
最後に、薬価改定について、中央社会保険医療協議会を軽視するかのような、大臣折衝(厚労・財務の各大臣の合意)による改定が多用されていることを取り上げ、保険料を負担する国民の理解を欠くことにつながると問題提起しました。加えて、薬剤費の増加率の上限を名目GDP(国内総生産)成長率にするという議論について、製薬産業の発展やイノベーションの原資となる薬価に関して、名目GDPありきの改定を肯定するのではなく、厚生労働省として「しっかりと反対の立場を取るべき」と提言しました。