組合員の生活を守るために、積極的な賃金引き上げへ
要求基準について説明を行う原田事務局長
2023年1月12日、UAゼンセンは記者レクチャーを実施。報道関係者等18社25名が出席するなか、1月18日に大阪で開催する第11回中央委員会に関して情報共有を行いました。今回の記者レクチャーには、総合サービス部門の原田光康事務局長が出席し、総合サービス部門の要求基準等について説明を行いました。
説明のなかで、原田事務局長は総合サービス部門の所属組合の現状について、「新型コロナ感染拡大の影響からの回復途上にあり、業種ごとに回復の程度は格差がある」としたうえで、「このような状況のなか、この間の物価高騰や実質賃金の低下に直面し、組合員の生活水準の低下も懸念されている。このように、いわば”病み上がり”の状況のなかで、組合員の生活を支えることを第一としながら、サービス産業における人材不足の解消などの観点や新型コロナ感染拡大のなか、現場での組合員の頑張りに報いる観点からも賃金引き上げが重要と認識している」と語りました。とりわけ、外食産業における人材不足については、「人材確保が困難となり、現場の組合員に大きな負担がかかっている現状がある。とくに、外食チェーンではリーズナブルな価格で、高品質なサービスを提供してきた経緯があり、厳しい状況が続いている。外食産業は働き手が就労時間を自由に選択できるという良い面もあるが、やはり時間給ということもあり、賃金面では他産業に競り負けてしまう傾向がある。今後は賃上げとともに、価格転嫁も合わせて進めていく必要がある」と提起しました。
原田事務局長は重ねて、「厳しい環境のなか、積極的な賃金引き上げを求めていきたい」と強調しました。
組合員の生活を守るために、積極的な賃金引き上げを
報道関係者等と質疑応答を行う原田事務局長
その後、原田事務局長は総合サービス部門の要求基準について説明を行いました。そのなかで、原田事務局長は「これまではデフレ禍のもと、格差是正へ向けた賃上げを実現することを意識して、要求水準を設定してきた」としながら、「今次労働条件闘争では、これまでの格差是正も意識しつつ、顕著な物価上昇をふまえ、実質賃金の維持・向上につながる賃上げを基軸とし、正社員組合員については『賃金体系維持相当分に加え、4%もしくは一人平均6%』を基準とした。また、実質賃金の向上、格差是正の観点から、『少なくとも一人平均12,000円以上』を要求することとした」と示しました。また、短時間組合員の要求水準に関しては、「引き続き、格差是正の取り組みが必要であることもふまえ、総額では正社員組合員と同様に6%を基準としている」ことを提示しました。
さらに、原田事務局長は「生産性の向上も重要だが、それぞれの現場における適正な価格転嫁による賃上げ原資の確保も必要であり、総合サービス部門として加盟組合の価格転嫁の状況をアンケート調査をつうじて把握に努めている」とし、いわゆる「B to B」(=事業者間の商取引)に携わる加盟組合では「協議を行い価格転嫁を実現したがまだ十分ではない」という回答が多く、一方、「B to C」(=事業者・消費者間の商取引)では「十分ではないが価格転嫁ができている」または「価格転嫁はしない」という回答が一定数あったことを報告しました。
最後に、原田事務局長は「総合サービス部門として、積極的な賃金引き上げに取り組んでいきたい」と締めくくりました。
説明後、報道関係者等と質疑応答を行いました。総合サービス部門の闘争方針は1月19日に京都で開催される第11回評議員会で決定されます。