継続的な賃金引き上げへ向けた環境整備や「年収の壁」問題の解決などを訴え
羽生田副大臣に対し、要請を行う松浦昭彦会長
UAゼンセンは毎年、政策・制度に関する諸課題について、UAゼンセンの「綱領」「運動の基本」「2025中期ビジョン」をふまえ、早期の実現を目ざす政策や重要度の高い政策を「重点政策」としてとりまとめています。
2023年7月7日、UAゼンセンは「2023年度UAゼンセン重点政策」にもとづき、厚生労働省に対する要請を行いました。冒頭、松浦昭彦会長は対応した羽生田俊副大臣に要請書を手交。松浦会長は「物価上昇を上回る継続的な賃上げへ向けては、省庁間の連携をはかり、各種施策をプッシュ型で事業者等に周知するなど、政府一丸となって対応を進めてほしい。さらに、だれもが能力や希望に応じて働くことができるように、就業調整を生じさせないような支援をお願いしたい。これまでも組織内参議院議員による国会質疑やさまざまな要請の機会をつうじ、職場の組合員の声を届けてきた。本日改めて共有する『重点政策』についても、他省庁と連携しながら、しっかりと対応をはかっていただきたい」と述べました。
また、出席した田村まみ組織内参議院議員は、これまで所属する厚生労働委員会のなかで積極的に質問を行ってきた『年収の壁』問題に言及。「具体的な支援策の検討など、政府の対応が進んでいることはよろこぶべきこと。しかしながら、再三にわたって厚生労働委員会でもお伝えしてきたとおり、政府が進める支援策では『支援策の実施前後で就業調整した者』に不合理な格差が生じるなど、懸念される点も多く、組合員からも不安の声が寄せられている。ぜひ、そのような点もふまえて支援策の検討を行ってほしい」と求めました。加えて、薬価改定の課題については、「6月15日に国民民主党として、薬価制度の抜本的見直しに関する要請を行った。保険財源確保を目的とした薬価引き下げは、製薬産業全体にとってマイナスであり、そこで働く者達の生活にも負の影響を与えかねない。この視点を持って対応に当たってほしい」と訴えました。さらに、薬価改定に関しては川合孝典組織内参議院議員からも「製薬産業には創薬など、大きな税収が見込める分野が含まれている。保険財源確保のみに注目した薬価引き下げは、こういった観点からも問題がある」と提起しました。
これらの要請に対し、羽生田副大臣は「継続的な賃上げへ向けては、今後も最低賃金の引き上げや助成金などで環境整備につとめていきたい。また、『年収の壁』問題や薬価改定に関する課題など、これまでも川合・田村両議員の国会質疑を含め、多くのご指摘やご提起をいただいている。引き続き、皆さんに現場の声を共有していただきながら、対応に当たっていきたい」と回答しました。
”より良い社会の実現へ向けて、一つひとつの政策課題の解決・改善を”
担当部局との意見交換で発言する田村議員(右端)
その後、製造産業、流通、総合サービスの各部門担当者を交え、「重点政策」に掲げる具体的な政策課題について、担当部局との意見交換を実施しました。
具体的には、「年収の壁」問題や薬価改定に関する課題に加え、安全衛生水準の向上やカスタマーハラスメント対策の強化、医薬品の安定供給の実現、介護従事者の処遇改善など、多岐にわたる項目について「重点政策」にもとづき、意見交換を行いました。最後に、西尾多聞副書記長は「UAゼンセンは特徴として、中規模・小規模の労働組合や第3次産業で働く組合員、とくに短時間労働者の組合員が多い。今後もこういった属性の組合員の声を届けながら、情報提供などさまざまな場面で連携をお願いしたい」と意見交換を締めくくりました。
左から製造産業、流通、総合サービスの各部門担当者による意見交換の様子
2023年度UAゼンセン重点政策(抜粋)
【2023年度重点課題】
(1)労働・社会政策
①継続的な賃金引き上げを実現できる環境整備の推進
②働き方に中立的な社会保険制度の構築
③雇用形態に公正な処遇の整備とひとり親に対する支援強化
④男女共同参画の推進と固定的な性別役割分担意識の解消
⑤外国人労働者の受け入れ体制の整備
⑥安全衛生水準の向上
(2)産業政策
①カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進
②不公正な取引慣行の改善
③カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの推進
④資源循環システムの構築と技術開発の強化
⑤国内産業競争力の強化を見据えた経済安全保障体制の構築
⑥薬価・材料制度の抜本的見直しや医療DXの推進およびヘルスリテラシーの強化
⑦万引き犯罪防止対策の強化
⑧領収書などにかかる印紙税の廃止
⑨介護従事者の処遇改善と人材確保に向けた対策強化
⑩トラックドライバーに安全な駐車スペース整備と高速道路の深夜割引制度の見直し
(3)地域政策
①地域共生社会の実現
②地域の支え手となる地方中小企業の就職者への支援
③すべての産業を対象にした公契約の適正化
④保育士の処遇改善と地域子育て関連事業の強化
⑤介護および医療従事者の処遇改善と事業者に対する支援強化
⑥交通弱者の支援強化
⑦若者のスポーツ支援を軸とした地域産業の活性化
⑧カスタマーハラスメント(悪質クレーム)対策の推進
⑨万引き犯罪防止対策の推進
⑩期日前投票所等の整備推進
【重点継続課題】
~省略~
以上