”職場におけるカスタマーハラスメントの実態を明らかにする”

 

松浦昭彦会長

主催者を代表して挨拶する松浦会長

 

 現在、悪質クレーム行為等のカスタマーハラスメントが社会問題となっています。UAゼンセンはこれまで、流通・サービス業の現場で働く組合員からの切実な声を受け、労使交渉による職場の環境整備はもとより、組織内参議院議員や全国の組織内・準組織内地方議員と連携し、社会課題としてカスタマーハラスメント撲滅へ向けた取り組みを推進してきました。2024年6月10日、UAゼンセン流通部門・総合サービス部門は本年1月18日から3月18日にかけて実施した「カスタマーハラスメント実態調査」(アンケート調査/回答組合数210組合:回答件数33,133件)の結果をふまえ、参議院議員会館講堂において緊急報告集会を開催しました。

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 今回の緊急報告集会には、川合孝典、田村まみ、堂込まきこ組織内参議院議員をはじめ、衆参両院の国会議員や報道関係者ら約130名が出席。冒頭、UAゼンセンの松浦昭彦会長は「今回の実態調査では、直近2年以内で迷惑行為の被害に遭った割合は、46.8%と前回(56.7%)と10%近く減少していることが明らかとなった。これは、この間の世論喚起や労使による真摯な取り組みの成果と認識している。しかしながら、依然として約半数の従業員がカスタマーハラスメントの被害に遭っている。引き続き、本実態調査の結果をふまえ、現場で働く者の実態やカスタマーハラスメント対策の法制化の必要性を訴えていきたい」と述べました。その後、厚生労働省の雇用環境・均等局の安藤英樹雇用機会均等課長から、これまでの政府による調査内容やカスタマーハラスメント対策関連の取り組みを紹介していただきました。

 

”サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会を”

 

3名の組織内参議院議員

実態調査結果の分析内容に耳を傾ける組織内参議院議員

 

 続いて、流通部門の桂義樹副事務局長、総合サービス部門の納谷謙太郎執行委員が、実態調査の内容を報告しました(内容は下記のとおり)。さらに、本実態調査の分析結果について、桐生正幸東洋大学教授と一般社団法人ココロバランス研究所の島田恭子代表理事が提起しました。

 

「カスタマーハラスメント対策アンケート調査」結果(速報・抜粋)

調査目的 : 職場で起こっているカスタマーハラスメントの実態について調査し、
 ①従業員の安心・安全な職場環境の構築へ向けた法制化などの具体的な成果につなげる
 ②コロナ後のカスタマーハラスメントの実態をつまびらかにし、世論喚起につなげる
 ③カスタマーハラスメント対策へ向けた各所属組合の労使議論の推進につなげる

調査対象 : サービス業に従事しているUAゼンセン所属組合員

調査期間 : 2024年1月18日~3月18日

回答組合数 : 210組合/回答件数 : 33,133

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「直近2年以内に迷惑行為被害にあったことがある」という回答は46.8%(2020年調査では56.7%)であり、減少傾向にある。※この間の世論喚起や労使の取り組みの成果と推測

「最も印象に残っている顧客からの迷惑行為」「暴言」(39.8%/6,170件)が最多。「威嚇・脅迫」(14.7%/2,281件)「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(13.8%/2,140件)「長時間拘束」(11.1%/1,723件)「権威的(説教)態度」(10.2%/1,583件)と続く。

「迷惑行為をしていた顧客の性別」は男性70.6%、女性27.1%となった(無回答2.3%)。

「迷惑行為のきっかけとなった具体的な理由」「顧客の不満のはけ口・嫌がらせ」が26.7%で最多。その他、「接客やサービス提供のミス」(19.3%)、「分からない」(17.3%)、「消費者の勘違い」(15.1%)などの割合が高い。

「迷惑行為における顧客からの要求として最も近いと思われるもの」「不手際などに関する謝罪の要求」(29.2%)、「商品取り換え・再サービスを要求」(16.3%)、「上司・上長による謝罪の要求」(15.1%)などが上げられる。

「企業で実施されている迷惑行為への対策」「とくに対策はなされていない」が42.2%で最多。「マニュアルの整備」(28.6%)や「専門部署の設置」(23.4%)、「迷惑行為対策への教育」(21.0%)などが続く。

「直近2年以内で迷惑行為は増えていると感じるか」33.7%が「増えている」と回答。「減っている」は6.7%。「変わらない」は34.7%、「分からない」は24.9%。

※詳細は添付資料をご参照ください。

 

 最後に、流通部門の波岸孝典事務局長は「引き続き、サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会を構築するために、業種ごとにカスタマーハラスメントの様態の定義やSNS対策の検討、省庁間での連絡・連携体制の構築、対策の法制化などに取り組んでいきたい」と本集会を締めくくりました。

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