
本会議で代表質問に立つ田村議員
現在、迷惑行為等の「カスタマーハラスメント」が深刻な社会問題として注目を集めています。UAゼンセンはこれまで、流通・サービス業などの現場で働く組合員からの切実な声を受け、労使交渉による職場の環境整備に加え、組織内国会議員や全国の組織内・準組織内地方議員と連携した国・地方行政での政策実現活動をつうじて、カスタマーハラスメントの撲滅へ向けた取り組みを推進してきました。とりわけ、田村まみ組織内参議院議員は2019年の当選直後の国会質問から、自身の小売業での経験や全国の組合員から寄せられた声を国会に届け続け、働く仲間をカスタマーハラスメントから守る法律の実現に全力を注いできました。2025年6月4日、参議院本会議において「労働施策総合推進法」の改正案が成立しました。UAゼンセンの長年にわたる訴えが実り、今回の改正により、カスタマーハラスメント対策が、事業主の「雇用管理上の措置義務」となりました。
働く仲間の悲願 「カスタマーハラスメント対策法」が成立

6月3日の厚生労働委員会での田村議員
2025年6月4日、参議院本会議において、「労働施策総合推進法」改正案が賛成多数で成立しました。今回の改正法では、カスタマーハラスメントを「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業関係が害されること」と定義。事業主に対して、「雇用管理上の措置義務」として、従業員が職場においてカスタマーハラスメントによって就業環境が害されることのないように、「相談に応じる」「必要な体制整備」「その他必要な措置」を講じることを義務化しています。
働く仲間の声が「政治」を動かし、今回の改正法案の成立を後押ししました。
働く仲間をカスタマーハラスメントから守る対策の強化・充実をはかる

カスタマーハラスメント対策の法制化が実現した
本会議に先立つ2025年6月3日、参議院・厚生労働委員会は「労働施策総合推進法」の改正案に対する採決を実施。結果、賛成多数で改正案は可決されました。
これまで、田村議員は、5月27、29日と立て続けに同改正案に対する質疑を行っています。具体的に、田村議員は5月27日の委員会において、自身にとって当選後初めての委員会質疑となった2019年11月19日の厚生労働委員会に立ち返り、ILO第190号条約(仕事の世界における暴力およびハラスメントに関する条例/日本は未批准)の批准へ向けて、カスタマーハラスメントという顧客等の第三者によるハラスメントから労働者を守る対策の法制化の必要性を改めて提起しました。
一方、5月29日の委員会では、、流通・サービス業の現場の声として、「カスタマーハラスメントを通報しても警察が十分に対応してくれない」といった声が寄せられていることに言及。「店舗や従業員にとって、警察はカスハラ対応の『最後の砦』。カスタマーハラスメントについて正しく理解し、適切な対応を徹底してほしい」と求めました。
今回の改正は、働く仲間の悲願であった「サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会」の実現へ向けた一歩となります。一方、国民民主党は4月25日、立憲民主党が共同で議員立法として独自の「カスタマーハラスメント対策法案(労働案税衛生法および特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案)」を提出しています。前述の5月27日の厚生労働委員会では、自由民主党の石田昌宏議員から、本議員立法対する質疑が行われました。
これに対し、田村議員は答弁に立ち、「政府提出の改正案は、カスタマーハラスメントについて、事業主が取り組む措置の義務化に留まっており、カスタマーハラスメントの排除へ向けた実効性の確保は不十分。一方、中規模・小規模の事業者においても、十分な措置を講じることができるように、事業者に対する体制整備へ向けた支援が行われるように議員立法を提出している。ご賛同をお願いしたい」と呼びかけました。