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 現在、急速に進展する少子高齢化のもと、医療現場における深刻な人手不足が問題となっています。将来にわたって、安心・安全で安定的な医療サービスを提供するためには、すべての医療従事者の処遇改善が必要不可欠です。このような状況をふまえ、UAゼンセン総合サービス部門は、「すべての医療従事者の処遇改善につながる診療報酬改定」を求める署名活動を展開。加盟組合を中心に15万3243筆を集約。2025年11月25日、厚生労働省を訪問し、集約した署名簿を手交するとともに、2026年度診療報酬改定における処遇改善へ向けた要請を行いました。

 

すべての医療従事者の処遇改善を目ざして

 

手交

加盟組合から寄せられた15万筆超の署名簿を手交した

 

 2025年11月25日、UAゼンセン総合サービス部門は、川合孝典・田村まみ・堂込まきこ組織内参議院議員らと共に、厚生労働省を訪問。加盟組合から寄せられた15万筆超の署名簿を届けるとともに、2026年度診療報酬改定における処遇改善を求め、要請を行いました。

 

 冒頭、総合サービス部門を代表して、小關崇仁医療・介護・福祉部会長(北九州病院労働組合)、木村謙太人材サービス部会長(ニチイグループ労働組合)から、厚生労働省の仁木博文副大臣に対して署名簿を手交しました。続く意見交換のなかで、小關部会長は「医療は国民の生命と健康を守る非常に重要な産業。しかし、著しい物価高騰のもと、適切な価格転嫁ができない状況から病院経営は圧迫され続けている。そのため、医療従事者の賃金も低位に留まっており、このままでは必要な医療を維持できない状況に陥る可能性がある。診療報酬改定による処遇改善は、医療現場を維持するためだけでなく、働く者にとって医療分野を魅力ある産業にしていくことにつながる」と訴えました。また、木村部会長は「医療事務は、医療現場を支える根幹であると考えている。そのため、診療報酬改定やベースアップ評価料など、国による処遇改善のための施策の恩恵が、医療事務などを含む医療現場における委託業者全体に広がるように対応をお願いしたい。また、医療資材高騰で病院経営は厳しい状況が続いており、適正な価格転嫁の実現へ向けて、より一層の後押しをお願いしたい」と提起しました。

 

 さらに、川合孝典組織内参議院議員は「救急外来など、収益性とは別の観点から重要性を持つ医療分野もある。物価高騰が続き、病院経営が成り立たなくなれば、国民の生命と健康を守る医療インフラ自体が維持できなくなる可能性がある。この課題の根本には、『負担と給付』の関係がある。『医療を維持するためにはこれだけの負担が必要です』といった具体的なイメージを示しながら、対応をお願いしたい」と強調。加えて、田村まみ組織内参議院議員は、「今回お届けした署名は、いわゆるインターネット署名とは異なり、職場で一人ひとりが署名の趣旨にふれ、それを理解し、加盟組合をつうじて、一筆一筆をUAゼンセンにお寄せいただいたもの。働く仲間の切実な声を受け止め、診療報酬改定につながる対応をお願いしたい」と求めました。

 

 UAゼンセンの要請を受け、仁木副大臣は「医療分野は公定価格のもとにあり、公定価格とは『政治でなんとかしなければならない分野』だと認識している。補正予算を土台にして、診療報酬の改定につなげていきたい。新型コロナ感染拡大のもと、医師や看護師だけでなく、医療事務を含めた医療分野全体で働く皆さんが、医療を支えている『エッセンシャルワーカー』だと実感した。病院とは重要な社会インフラであり、必要な診療報酬改定を実施するため、いただいた要請もふまえながら対応していきたい。」と応じました。

 

 最後に、UAゼンセンの原健二政策政治局長は、「政府の対応が現場では有効に機能していない現状がある。働く現場から寄せられた声をふまえ、診療報酬改定の引き上げを実現してほしい。また、UAゼンセンには多種多様な産業の加盟組合が集っており、働き方改善など、多くの分野で引き続きの意見交換をお願いしたい」と締めくくりました。

 

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