2025年2月22日、UAゼンセンとヘルスケア労協は「患者・利用者・家族からのカスタマーハラスメント(以下、カスハラという)に関するシンポジウム」を共同開催しました。
医療・介護現場で深刻化するハラスメントの実態やカスハラ対策の必要性について議論を交わし、カスハラアンケート調査に協力いただいた両組織の加盟組合をはじめ、業界団体やメディア関係者など70名以上が参加しました。
シンポジウムの冒頭、古川会長代行(UAゼンセン)の開会挨拶のなかで「医療・介護業種は公定価格で決められたサービスであり、他産業のような賃上げができない」と処遇改善について強く訴えました。
両組織の事務局長からは「医療・介護業種におけるカスハラは、他のサービス業とは異なる、医療・介護業種特有の事案が発生していることから、まずは実態把握を目的にアンケート調査を実施した」と調査に至った経緯を説明しました。
労働調査協議会の後藤主任調査研究員からは、今調査の結果概要について報告を受けました。病気に起因する行為とハラスメントとの境界線など、業種特有の課題があると共に、看護職、介護職、医療技術職、事務職では職種によるハラスメントの特徴や違いも明らかになったとの報告がありました。
厚生労働省からは、現在厚労省が進めているカスハラ対策の取組状況について報告を受けました。さらに、有識者の見解として、労働政策研究・研修機構の内藤副主任研究員から「カスハラの行為者に焦点を当てるのではなく、行為自体に対してどのように対策をするかが重要。使用側も労働者を守るために、しっかりと対策する必要がある」との見解が述べられました。
後半のパネルディスカッションでは、現場で直面する課題や今後必要とされる施策について、現場から3名のパネリストに登壇していただき意見を交わしました。UAゼンセンからは、元介護福祉士として飯田さん(立川メディカルセンター労働組合)、医療事務として糸氏さん(ニチイグループ労働組合)がパネリストとして登壇されました。カスハラに関する自身の体験談を含めた現場の実態や、カスハラ発生防止・発生後の対応、職場での具体的な対応策の重要性などについてそれぞれの職種の視点で訴えました。
今後の取り組みとして、医療・介護業種の職場に適したカスハラマニュアルの作成に着手していることや、今後もカスハラ対策に向けた取り組みを多くの方々に知っていただくために、連合や他産別と連携するほか、業界団体やマスメディアにも発信していく旨の報告を行ないました。
最後に、ヘルスケア労協の上間会長より「今回の調査で実態を把握できた。今後も調査を継続し、医療・介護現場のカスハラを減少させ、安心して働き続けられる産業を目指していきたい」と、力強い挨拶でシンポジウムを締めくくりました。
UAゼンセンとヘルスケア労協は、今回の調査成果を踏まえ、引き続き現場の声を発信しながら、医療・介護従事者の安全と働きやすい環境の確保に向けた取り組みを進めていきます。



左から、長野副会頭(ヘルスケア労協)、内藤副主任研究員(労働政策研究・研修機構)、炭谷大阪府支部執行委員長(全済生会労働組合)、飯田中央執行書記長(立川メディカルセンター労働組合)、糸氏執行委員(ニチイグループ労働組合)
