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「優越的地位の濫用行為」の撲滅を目ざし実際調査を実施

 

「優越的地位の濫用行為」 「14の問題となり得る取引事例」

 

 食品関連産業は、安心・安全な食品を安定的に供給することで、私達の生命と豊かで健康な食生活を支えています。一方で、食品は生活必需品であることから、流通・小売現場において、より安い商品を求める消費者の意向が反映されやすい傾向にあります。そのため、食品関連産業においては、物価上昇などによるコスト上昇分に対する十分な価格転嫁や本来の「価値」に見合った「適正価格」の実現が深刻な課題です。また、依然として、一方的な取引価格の決定や据え置き、不当な労務提供などの「優越的地位の濫用」に該当する行為が生じている実態もあり、取引慣行の改善が強く求められています。

 これらの状況をふまえ、UAゼンセンは2003年から毎年、フード連合(=食品関連産業の労働者が集まる産業別労働組合。連合加盟。組合員は約11万名)と共同で「取引慣行に関する実態調査」を実施しています。本実態調査では、現場の組合員(営業担当者)を対象に、実際の取引現場における「優越的地位の濫用」行為に該当しかねない事例を収集。収集した事例については、独占禁止法や取適法、「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」(農林水産省)にもとづき、「14の問題となり得る取引事例」や望ましい取引事例として整理しています。

 

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 今回の実態調査は、2025年9~11月にかけて実施し、前年を上回る5509件の回答が寄せられました(昨年4615件)。このうち、「取引価格」「発注・返品」「対応要求」「追加費用負担」に関する問題について、いずれも改善傾向が見られます。一方で、「取引価格」においては、「原材料価格等の上昇時の取引価格決定」の件数・構成比がともに増加しており、約半数は「取引先の一方的な理由で、納品価格を据え置かれた」と回答しています。また、「対応要求」の項目では、「不当な労務提供」の構成比が増加しています。とりわけ、日当・交通費等については「取り決められているが請求していない」という回答が増えています。

 

 これらの回答は、価格交渉自体は進展する一方で、必要な水準までの転嫁の実現に課題が残っている実態や、価格以外の形で負担が転嫁されている可能性を示唆しており、引き続き、取引慣行の改善の必要性は高いと考えられます。

 

取引慣行の是正を目ざして、食品関連産業の現場の実態を訴える

 

永島会長発言

中小企業庁で取引慣行の改善の必要性を訴える永島会長

 

 2026年2月3日、UAゼンセンとフード連合は「取引慣行に関する実態調査」の調査結果をふまえ、公正取引委員会・中小企業庁・農林水産省・消費者庁の4省庁に対し、取引慣行の是正はもとより、賃上げ交渉時期を前に、価格転嫁の推進や適正価格の実現を求める要請を行いました。具体的な要請内容は下記のとおりです。

 

公正取引委員会・中小企業庁

 公正取引委員会・中小企業庁では、「公正な取引慣行の実現」に関する要請を行いました。UAゼンセンの永島智子会長は「賃上げの機運が高まっている。とりわけ、中小企業において高水準の賃上げを実現し、その成果を波及させなければ、日本全体の賃上げ実現は叶わない。そのためには、取引慣行を改善し、より一層、価格転嫁を推進していく必要がある」と強調しました。また、「適正な価格転嫁を推進する」と考え方と、「価格を据え置くことで市場でのシェアを維持・拡大したい」という経営方針の対立について、川合孝典組織内参議院議員は「価格を据え置く、あるいは価格を下げることによって、企業収益は圧迫される。これに伴って、『必要な賃上げができない』ということがないようにすべき」と提起しました。

 これに対し、公正取引委員会の岩成博夫事務総長は「いただいた実態調査の内容は、公正取引委員会が高い優先順位を持って取り組んでいる内容と一致している。厳正な法執行など、必要な対応を継続していく」と回答。さらに、中小企業庁事業環境部の小髙篤志取引課長は「今後は取引現場において、『常識のラインを変える』という視点が重要になる。根強い商習慣・商慣行を改善していくことは一朝一夕にはできないが、粘り強く対応していきたい」と応じました。

 

農林水産省

 続く農林水産省では、「食品製造業と小売業の適正取引推進」に関する要請を行いました。永島智子会長は、「公正取引委員会や中小企業庁とも連携をしていただき、適正価格や適正取引の推進はかなり進んでいる。一方で、中小企業をはじめ、まだ十分に推進できていない実態も浮き彫りになっている。引き続き、改善へ向けた取り組みを強化してほしい」と要請しました。

 これに対し、農林水産省新事業・食品産業部の渡邉浩史企画グループ長は、「食品関連産業の皆さんに声をいただいたことで、『食料システム法』が成立し、本年4月から施行されるに至った。本法には、価格交渉の推進や商慣習の見直しが努力義務として盛り込まれており、すでに食品等取引実態調査などを担う『フードGメン』を配置し、新たな体制で動き出している。今後、より一層体制を充実させていきたい」と応じました。

 

消費者庁

 消費者庁では、「食の安全・安心の推進」を求める要請を実施。永島智子会は、「適正価格・適正取引の推進が進展するなかで、労働者・組合員の視点と共に、消費者の視点も非常に重要になる。適正価格・適正取引は国民全体に資する活動であり、消費者庁としても周知の取り組みの充実をお願いしたい」と訴えました。

 これに対し、黒田啓太消費者教育推進課長は、「消費者教育推進法において、消費者は『消費市民社会』における重要な当事者であり、一つひとつの消費行動をつうじて『公正取引』『持続可能な地球環境の実現』などの中・長期的な課題に影響を与える主体と考えている。現在、消費者庁としては、『エシカル消費』を推進しており、ウェブサイトの充実やチェックリストを活用した周知などを実施しており、引き続き周知活動の充実をはかっていきたい」と応えました。

 

 UAゼンセン総合サービス部門は、引き続き、フード連合と連携しながら、食品関連産業の取引慣行の改善に努めていきます。

 

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