現在、顧客等による迷惑行為など「カスタマーハラスメント」が深刻な社会問題として注目を集めています。UAゼンセンは「サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会」を目ざして、流通・サービス業などの現場で働く組合員からの切実な声を受け、労使交渉による職場の環境整備に加え、組織内国会議員や全国の組織内・準組織内地方議員と連携した国・地方行政での政策実現活動を推進しています。その結果、UAゼンセンの長年にわたる訴えが実り、カスタマーハラスメント対策を事業主の「雇用管理上の措置義務」とした「改正労働施策総合推進法」が成立。本年10月1日から施行されるに至りました。
そして、このほどILO(国際労働機関)の「小売部門における労働安全衛生に関する技術会合」が発表した結論文書において、カスタマーハラスメントに関するUAゼンセンの主張が国際合意として明記されました。
”働く仲間をカスタマーハラスメントから守る”
カスタマーハラスメント対策を含め白熱した討議が行われた
2026年9月28日~10月2日にかけて、ILO(国際労働機関)はスイス・ジュネーブの本部で「小売部門における労働安全衛生に関する技術会合」を開催。政府・使用者・労働者の三者で構成される本会合においては、小売部門の労働安全衛生の課題と対策について討議が行われました。とりわけ、今回の会合では、デジタル化・AI(人工知能)、心理・社会的リスク、気候変動、インフォーマル経済、そして第三者(顧客)による暴力・ハラスメントに関して活発な議論が交わされました。
UAゼンセンからは、正委員として流通部門の杉澤辰始副事務局長が出席。このほか、アドバイザーとして工藤未央労働条件局局員、オブザーバーとして上田智亮国際労働運動センター長が参加しました。
会合のなかで、UAゼンセンとしてはこれまでの組合員3万3000名超に対する調査にもとづき、働く仲間が直面するカスタマーハラスメントの実態を提起。また、会合の期間中に施行日を迎えた「改正労働施策総合推進法」についても好事例として共有を行いました。これらをつうじて、「顧客によるハラスメントを『流通・サービス業に付きものの問題』とせずに、サービスを提供する側と受ける側が共に尊重される社会を構築することが重要」と主張しました。
カスタマーハラスメントをなくす活動を国際的な潮流に
三者合意へ向けて働く仲間の実態を提起した杉澤副事務局長(右)
5日間にわたる技術会合の議論のなかでは、労働者側・使用者側で「結論文書」に盛り込む文言や内容について白熱した議論を展開。最終的に、結論文書のなかに「暴力およびハラスメントの防止には、関係主体がそれぞれの責任の範囲内で適切な行動をとること、ならびに顧客と小売業の使用者および労働者との間のやり取りにおいて尊厳と敬意を促進する取り組みが必要である。」(第10項・仮訳)や「…暴力およびハラスメント…の防止および対処について構成員を支援すること、ならびに顧客と労働者が共に尊厳と敬意をもって尊重される社会の構築に寄与すること。」(第26項b・仮訳)など、三者合意のもとでUAゼンセンの主張が盛り込まれるに至りました。
ILOの三者構成会合の公式文書に、UAゼンセンが主張してきた「カスタマーハラスメント対策」の考え方が明記されたことは大きな成果であり、今回の国際合意には国内のカスタマーハラスメント対策を後押しすることが期待されます。なお、この「結論文書」は今後、所定の手続きに従って2027年3月に開催される第359回ILO理事会に提出され、ILO事務局による小売部門向けのツールや指針の策定に活用される見込みです。
※ILOが発表した「結論文書」およびUAゼンセンのこれまでの取り組みは下記URLからご覧いただけます。
【ILOホームページ】ILO meeting agrees on action to strengthen safety and health in retail
【UAゼンセンホームページ】カスタマーハラスメント対策資料(これまでの取り組み)