2023年12月19日(火)UAゼンセン広島県支部(香西 真 支部長)は、湯﨑英彦 広島県知事に対し、「持続的賃上げにつながる物価高対策に関する要請書」を提出しました(要請内容は添付PDF参照)。

 要請の趣旨に沿って、以下の内容を中心に意見交換を行い、広島県として積極的に取り組みを進めてもらうことを確認しました。

・地元に基盤を置く企業が人材を確保し、地域と企業が持続的に成長していくには、物価上昇を上回る賃上げを実現していくことが必要であり、2024年春の賃上げ交渉に臨む中で、エネルギーや原材料、人件費等の上昇分を販売価格に転嫁することが困難な企業や、公定価格や公契約で運営されているため料金に転嫁できない事業者は、賃上げ原資が十分に確保できず、大変苦慮している。

・UAゼンセンには多くの中小企業が加盟している。国が主導する政策では、どうしても中小企業にスポットが当たりづらい傾向がある。UAゼンセンの7割を占める中小企業が賃上げ原資を確保できる取引環境を整備することが極めて重要である。

・政府が示す推奨事業メニューの事業者支援うち、「中小企業等に対するエネルギー価格高騰対策支援」として、特別高圧での受電(ビル・工業団地・卸売市場のテナントを含む)が示された。2023年3月の物価高対策では、2023年9月まで特別高圧受電者への支援を実施しているが、今回の政府決定を踏まえ、引き続き2023年10月以降についても、商業施設や工場など特別高圧受電者(入居するテナント含む)に対する支援をお願いしたい。

・介護事業者は物価高対策として適正な価格転嫁を行うことができない。賃金も報酬単価を国が決めているため中々上がらず、一時金に至っては前年比マイナスの事業所が多数を占めている。営利法人だけでなく、社会福祉法人や医療法人社団の事業所ですら、赤字で維持しているような状態で、人手不足も相まって、何かしらの補助がないと存続すら危ぶまれるといった厳しい状況に置かれており、重点支援地方交付金等での更なる配慮をお願いしたい。また、支援をしてもその事実を知らない、手続きの方法がわからないといった事業者へのフォローも充分に対応してもらいたい。

・公契約について、広島県では学校給食等を運営するホーユーが9月に突然事業停止をしたという大きな事件があった。契約時から物価高が進んでも、その内容を見直さなければ、採算は合わなくなるのは誰が見ても明らかな話。政府からも労務費転嫁の価格交渉に関する指針が出ている中、定期的に協議し、都度契約内容を見直す仕組みづくりが必要。また、慣例として、契約実績がないと、入札時の優位性が得られず、価格を引き下げて多少無理してでも契約を取りに行くという問題があると聞く。企業戦略としては許容される反面、その後契約内容の見直しがなければ、ホーユーのように大きな事件につながりかねない。「安かろう、悪かろうは良くない」という認識は広がりつつあり、一般的な理解も得やすくなっている昨今、適正な価格、適正な労務費の中、国民が安心できるサービスを提供する環境整備が急務である。

・税収について、賃金が上がれば所得税が増え、物価が上がれば消費税が増えるのは必然。国民のために税金をどう活用するのかが政治の役割であり、「税収が増えたから、所得税を還付する」という対応は愚策といっても過言ではない。地域社会の生活者、労働者に適正な価格・労務費でサービスが提供されるよう、広島県がリードする形で積極的な予算組み等を実施し、好循環を作ってもらいたい。

 当要請については、1月中を目途に広島県より文書にて回答予定です。

<UAゼンセン出席者>
香西支部長、杉﨑委員長(まちづくり委員会・4℃グループユニオン)、磯部委員(まちづくり委員会・日本介護クラフトユニオン中四国総支部)、稲福次長、山守常任、福知基弘広島県議会議員(準組織内)

<広島県対応者>商工労働局
梅田局長、藤井雇用労働担当部長、長谷川雇用労働政策課課長、野上雇用労働政策課参事、北崎雇用労働政策課主査

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