川合議員 葉梨大臣

質疑を行う川合孝典議員(左)と答弁する葉梨法務大臣(右・肩書は当時)

 2022年10月3日、第210回国会(臨時会)が召集され、本格的な論戦がスタートしています。今国会のなかで、川合孝典組織内参議院議員は法務委員会、北朝鮮による拉致問題に関する特別委員会に所属しています。とりわけ、川合議員は法務委員会のなかで、技能実習生などの在留外国人を巡る課題の解決に力を注いでいます。

 

”ポストコロナの出入国管理体制の迅速な整備を”

 

 2022年10月27日、川合孝典組織内参議院議員は法務委員会で、葉梨康弘法務大臣(当時)に対し、2年半にわたり取り組んでいる技能実習生や外国人労働者、在留外国人に関する課題について質疑を行いました。

 質疑のなかで、川合議員は出入国管理行政における水際対策の緩和に伴い、外国人の入国状況が新型コロナ感染拡大以前の状態に戻ってきていることに言及。そのうえで、葉梨大臣が大臣所信のなかで「ポストコロナを見据えた出入国管理体制の計画的整備の必要性」を表明していることにふれ、出入国管理体制の整備について具体的な進捗状況を質しました。

 これに対し、葉梨大臣は「現時点の認識としては、ビジネストラックの数が戻っている途中にあると捉えている。今後は、外国人観光客に関しても、観光立国の観点もふまえ、顔認証などのデジタル技術なども活用し、効率的な出入国管理の運営を行っていく必要がある。人材確保・育成なども含めて計画的に進めていきたい」旨、答弁しました。葉梨大臣の答弁を受け、川合議員は「今後、技能実習生や特定技能実習生等の入国も増加することが予想されるので、必要な体制整備を急いでほしい」旨を訴えました。

 

「ビジネストラック」と「レジデンストラック」

 現在、わが国で運用されている入国管理の枠組み。「ビジネストラック」は、渡航前に「活動計画書」を提出するなどの条件を満たすことで、入国後14日間の自宅待機期間中も行動範囲を限定しつつ、ビジネス活動が可能となる。一方、「レジデンストラック」は入国後14日間の自宅待機が義務となっている。

 

”適正な技能実習運営のために制度改善を”

 

 また、2022年11月1日の法務委員会において、川合議員はふたたび技能実習生等に関する課題について質疑。本委員会では、四国の縫製工場で技能実習生に対する残業代の不払いが発生した事例を取り上げ、技能実習制度自体の構造的な問題の解決が必要と指摘しました。具体的には、技能実習生の失踪状況にふれ、失踪者が後を絶たない状況について葉梨大臣の認識を問いました。葉梨大臣は「失踪については、労働基本権の侵害など、不適切な行為を行う実習先や監理団体の抱える問題、『より良い条件の所で働きたい』という技能実習生の思いなど、複合的な理由が背景にあると認識している」旨、回答を行いました。

 これを受けて、川合議員は「不適切な扱いを受けた場合に関して、本国への送還などを恐れ、相談ができない状況があると考えられる。また、いわゆる『転職』ができないという点も是正すべきなのではないか」と訴えました。これに対し、葉梨大臣は「技能実習という特性上、習得する技能を変更する『転職』は困難だが、技能実習生が異なる実習先へ移る『転籍』についてはこれまでも柔軟に認めている。この点について、技能実習生に周知するとともに、厚生労働省と連携しながら実習先・監理団体への指導も徹底していきたい」旨、答弁しました。

 

実習先企業、監理団体の選定基準の見直しを要請

 

 引き続き、川合議員は出入国管理庁、厚生労働省にそれぞれ技能実習生からの申告・相談、監督指導の件数とその推移を質問。そのうえで、「件数の推移からも、改善の取り組みを進めているが、いまだに効果はいきわたっていない現状がある」と指摘。加えて、非営利で運営される監理団体に関し、実際は実習先企業と利害関係を有する組織が監理団体になっている事例も複数あると指摘し、「監理団体を許可制から認証制に変更し、実習先企業の選定に当たり、賃金支払い能力を基準にするなどの対応が必要」と強調しました。

 川合議員の提起に対し、葉梨大臣は「ご指摘の点もふまえ、有識者会議での議論も勘案し、良い制度をつくり上げていきたい」旨、答弁しました。

 

 この他、川合議員はデジタル技術を活用した裁判記録の保存などを提起した他、11月10日の法務委員会では官民の給与格差などに関する質疑も行っています。

 

「技能実習」とは?

 わが国で外国人が滞在・生活するために必要な在留資格の一つ。技能実習法の定める技能実習制度により、技術や知識を企業等で働きながら習得し、それをつうじて開発途上国等の経済発展を後押しすることを目的としている。技能実習生の受け入れ・実習には、一企業が単独で受け入れから実習までを行う「企業単独型」と、非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、その団体の傘下の企業で実習を行う「団体管理型」がある。原則として、技能実習生に関しても労働基準法等の労働関係法規が適用される。

 

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