”感染拡大〈第8波〉から国民を守るために”
2022年11月24日、田村議員は厚生労働委員会で感染症法改正に関して、岸田文雄内閣総理大臣および加藤勝信厚生労働大臣のそれぞれに質疑を行いました。
この間、田村議員は本会議や厚生労働委員会で同法改正を取り上げ、立て続けに質問してきた経緯があります。本委員会で田村議員は、いよいよ法改正へ向けた議論の終局を迎えるに当たり、働く仲間を守る観点から政府が示す改正案の内容を質しました。
なお、感染症法改正については本委員会において賛成多数で可決。来週にも開かれる参議院本会議で採決が行われ、成立する見通し。
感染拡大防止へ向けて「司令塔」機能の強化を求める
田村まみ議員の質問に対し、答弁を行う岸田総理大臣
質疑の前半、田村議員は岸田総理大臣に対する質疑を実施。具体的には、今回の感染症法改正により、内閣官房のなかに「内閣感染症危機管理統括庁」、厚生労働省内に「感染対策部」がそれぞれ設置されることに言及し、「これまでの感染拡大のなかで、感染拡大防止には各省庁を連携させ、強力に統括する必要があることが明らかとなった。一方で、新組織を設置すること自体ではなく、『司令塔』としての機能を強化することこそが重要だと考える。それをふまえ、政府の改正案を見ると、『内閣感染症危機管理統括庁』のトップを閣僚ではなく、官房副長官クラスが担うとされている。このような状態で本当に強力な統括が可能なのか」と問題提起を行いました。
これに対し、岸田首相は「感染症対応の司令塔は内閣総理大臣であり、『内閣感染症危機管理統括庁』はそれを直接助けるために設置する。また、感染症対応は国民の生活、健康の保護の観点のみならず、政府全体で総合的な見地から取り組む必要がある。そのため、各省庁を強力に統括する組織として同庁の設置を目ざしている」という趣旨の答弁を行いました。
続けて田村議員は「これまでも感染防止対策のなかで、タテ割り組織の弊害が散見された。組織が増え、体制が複雑化することで『どこになにがあるのか分からない』といった状態に陥ることも危惧される。感染症対策に限らず、各省庁を強力に統括することは、そもそも内閣総理大臣の責務である。『とりあえず組織をつくる』という姿勢は政治的パフォーマンスとも見受けられる。本来の趣旨である『機能強化のために組織を見直す』という意味では、内閣こそ改造する必要があるのではないか」と迫りました。
田村議員の提起を受け、岸田総理大臣は「ご指摘のとおり、内閣の信頼は非常に重要であり、国民の皆さんに信頼を感じてもらえるようにしっかりと取り組んでいきたい。そのうえで、今回の感染症法改正については、従来から新型コロナ対策に関する議論のなかで、感染症対策だけでなく、社会経済活動との両立の観点が指摘されてきた。その過程で『司令塔』の機能が求められたということであり、『内閣感染症危機管理庁』でしっかりと強力な統括を行い、『司令塔』としての機能を果たしていきたい」旨、答弁を行いました。
「病気有給休暇」法制化の早期実現を目ざして
岸田総理大臣の答弁に耳を傾ける田村まみ議員
その後、田村議員は病気有給休暇の法制化について言及。「病気有給休暇が『ある』と回答した比率が、平成31年は25.7%であるのに対し、令和4年は22.7%と減少している」という厚生労働省「就労条件総合調査」の結果を引用し、「今後、結果として国民に対し行動制限がかけられる可能性が高い。そのようななかで、感染拡大を防ぐためには正社員には病気有給休暇、正社員以外の短時間労働者については休業補償をそれぞれ法制化する必要がある」と訴えました。
これに対し、岸田総理大臣は「現在、病気有給休暇の導入については、労働法制上は事業主の努力義務としている。政府としては、今後も情報発信などをつうじて事業主の取り組みを後押ししていきたい」旨、回答しました。岸田総理大臣の回答をふまえ、田村議員は「現在の『努力義務』のもと、病気有給休暇を導入する企業は減っているという現実がある。この事実を直視し、病気有給休暇の法制化へ向けた議論をすみやかにスタートさせてほしい」と重ねて要請しました。
病気に罹患した場合、または(新型コロナ感染の疑いなど)病気の罹患が疑われる場合に、既存の有給休暇を消費せずに、収入の心配をすることなく休暇取得できる制度。新型コロナ感染拡大の初期から、田村議員が法制化を強く要請してきた。
医薬品の安定供給の実現を目ざし、平時から医薬品製造に支援を
質問を行う田村まみ議員(左)と答弁を行う加藤厚生労働大臣(右)
質疑の後半、田村議員は加藤勝信厚生労働大臣に対し、感染拡大”第8波”を見据えた医薬品の安定供給について質疑を行いました。
具体的には、米国の事例を引用しながら、今後の感染危機に備え、平時から医薬品製造の現場に恒常的な支援を行う必要性を指摘。「現在は新型コロナ感染拡大のもと、さまざまな支援が行われているが、これを一過性のものとせずに、恒常的な支援としてほしい」と訴えました。
その後、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」において、日本ジェネリック製薬協会が提出した資料を引用し、後発薬品のうち「製造原価が8割を超える製品が3割ほどある」「エネルギー価格高騰を受け、696品目が製造すると収支上マイナスになる」といった点を取り上げました。そのうえで、「社会保障費の自然増を押さえる方向で薬価改定が行われるなか、医薬品の安定供給を確保するためにも、厚生労働省の責任のもとで後発薬を含め医薬製造に関する支援を行うべき」と求めました。
さらに、田村議員は「医薬品製造に必要な原薬や中間体を製造する事業者には、中規模・小規模が少なくない。現在、現場からの声として、管理薬剤師の確保が困難になっている状況がある。政府として対策が必要なのではないか」と提起しました。これに対し、加藤大臣は「業界全体の人材確保に働きかけを行っていきたい。また、現状把握に努め、適切な人材確保へ向けて努力していきたい」旨、答弁を行いました。
その他、田村議員は季節性インフルエンザと新型コロナの同時検査キットのOTC(=市販薬)化に伴う国民負担軽減策などについても質疑を行いました。
新薬(先発医薬品)の再審査期間、物質(成分)特許期間が満了した後、新薬と品質、効き目、安全性が同等であることを証明するさまざまな試験を実施し、厚生労働省の承認を得て製造・販売する医薬品。先発医薬品に比べて薬価が安くなっており、ジェネリック医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資する。一方、ジェネリック医薬品企業では、2年に1回の薬価の引き下げを新製品の投入と既存品の数量増加によって吸収することで事業を維持拡大し、企業にとって不採算な品目であっても供給を行っている場合があり、政府によるなんらかの支援が求められている。