”拉致問題は「他人事」じゃない” ヤングリーブスを中心に署名活動を展開

 

 現在、政府が認定した北朝鮮による拉致被害者は17名。このなかには、加盟組合の菅公学生服(旧尾崎商事)労働組合米子支部の組合員・松本京子さんがいます。また、特定失踪者問題調査会が拉致の疑いが高いとした約470名の「特定失踪者」のなかには、東レ労働組合愛媛支部OBの故大政峰男さんの長女・由美さんが含まれています。

 このことから、UAゼンセンは2002年から、青年組織(ヤングリーブス)を中心に拉致被害者家族支援の活動に取り組み、2011年からは毎年、組合員を中心に組織内外で集めた署名簿を拉致問題担当大臣に提出しています。これまでにUAゼンセンが政府に届けた署名は累計で545万6945筆になりました。

 

松本さん大政さん図

 

過去最多の署名を集約 一人ひとりの署名が拉致被害者救出の大きな力に

 

カンパ金贈呈

特定失踪者問題調査会の荒木代表(右)にカンパ金を贈呈する松浦会長

 

 今回、UAゼンセンは昨年12月から本年2月にかけて、「支援活動強化月間」を設定。この期間を中心に全国各地の仲間達が署名活動を実施した結果、過去最多となる88万4639筆の署名を集約しました(昨年は82万6906筆を集約)。また、この結果を受けて、UAゼンセンは2023年4月10日、「北朝鮮による日本人拉致被害者家族支援活動報告会」を開催。報告会の冒頭、松浦昭彦会長は「過去最多の署名を集めていただいた加盟組合の皆さんに敬意を表したい。多くの方々の協力により、この大きな数字を実現できた。この数字があるからこそ、世論を喚起し、政府を動かすことができる」と述べました。

 その後、北朝鮮に居住する拉致被害者へ向けた短波放送「しおかぜ」の放送など、拉致被害者救出および拉致被害者家族支援に取り組む「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表が挨拶を行いました。荒木代表は「社会運動はやっている途中には『なんでこんなことをしているのか』『これがなんの役に立つのか』と悩むもの。皆さんが一人ひとり、拉致問題解決へ声を上げ、署名を集めてくれたことに感謝したい。この力を最大限に生かし、この大きな問題の解決を目ざし、少しでも前に進めていきたい」と感謝と決意の言葉を述べました。また、UAゼンセンから特定失踪者問題調査会に対し、全国各地の仲間から署名とともに寄せられたカンパ金262万2644円の贈呈を行いました。

 さらに、本報告会には松本京子さんの兄・孟(はじめ)さん、大政由美さんの母・悦子さんが出席。松本孟さんは「妹の拉致から46年が経った。いまでも『なんとか救出しなければ』と思いながら日々を過ごしている。これからも、妹が帰ってくる日まで、一日一日を大切に過ごしていきたい。UAゼンセンの組合員一人ひとりの努力に感謝したい」と語りました。大政悦子さんは「UAゼンセンの皆さんには、いつも勇気と元気をもらっている。本当にありがたい。これからも、北朝鮮に拉致され、苦しんでいる人々を助けるために力を貸してほしい」と訴えました。

 最後に、中川紀子ヤングリーブス委員長(イオンリテールワーカーズユニオン)が、「コロナ禍では、街頭署名活動が思ったとおりできないなど、もどかしい思いをした。今回、署名活動をしているなかで『頑張ってね!』『必ず帰ってくるよ』とお声かけいただいた。皆さんから署名とともにいただいた思いをしっかりと政府に伝えていきたい」と報告会を締めくくりました。

 

松本さん 大政さん

出席者を前に思いを語る松本孟さん(左)と大政悦子さん

 

一刻も早い拉致被害者救出へ 政府に迅速な行動を訴える

 

署名提出

松野大臣に対し、署名簿を手交する松浦会長(前列左から4人目)

 

 報告会後の同日夕刻、松浦昭彦会長は川合孝典組織内参議院議員、田村まみ組織内参議院議員、堂込まきこ組織内参議院議員、ヤングリーブス委員会のメンバー、松本孟さん、大政悦子さんらとともに、首相官邸を訪問。松野博一拉致問題担当大臣に対し、88万4639筆の署名を手交した後、松浦会長は「拉致問題解決へ向けた見通しがつきにくい状況が続いている。政府には、これまで以上の行動で一刻も早い解決を実現してほしい」と訴え、一刻も早い拉致被害者救出を強く求めました。引き続き、松本孟さんは「妹(京子さん)が一日も早く日本に帰ってこれるように、UAゼンセンの皆さんと日々頑張っている。ぜひ帰国を実現してほしい」、大政悦子さんは「娘(由美さん)をはじめ、北朝鮮にいる拉致被害者はきっと、『いつか日本に帰れる』と信じているはず。どうかこの思いに応えてほしい」と、それぞれに切実な胸の内を語りました。さらに、川合孝典組織内参議院議員は「私達は拉致問題を風化させない取り組みをしている。一方、拉致問題解決は政府が主体的に取り組まなければならない。一刻も早い帰国を実現してほしい」と提起しました。

 これらに対し、松野博一大臣は「拉致問題は岸田内閣の最優先事項。いまだ新型コロナ感染拡大の影響があるなかで、これだけ多くの署名をいただいたことに感謝する。署名は政府にとって大変心強い後押しとなる。一つひとつの署名に込められた思いにしっかりと応えていきたい」と回答しました。

 また、本要請後には首相官邸にて松浦昭彦会長、松本孟さん、大政悦子さんが報道陣の取材に対応し、記者からの質問に答えました。

 

松浦会長要請風景 ぶらさがり風景

松野大臣に要請を行う松浦会長(写真左)。写真右は要請後の取材風景

 

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