2022年3月25日、参議院・厚生労働委員会が開催され、「雇用保険法改正」に関する参考人質疑が行われました。本委員会には、日本労働組合総連合会(連合)の村上陽子副事務局長ら4名が参考人として出席し、在籍出向や職業訓練の現況、産業雇用安定センターの活用、「求職者給付」における国庫負担の原則1/40への見直しなどについて、意見を述べました。
田村まみ組織内参議院議員は、山田久参考人(日本総合研究所副理事長)に対し、コロナ禍で利用が増加している「在籍出向」に関して、出向者の希望に応じた「転籍」(=出向先への転職)の支援、窓口として機能している産業雇用安定センターの効果的な運営に関する課題について質疑。質疑に対し、山田参考人は「時代の変化に伴い、在籍出向は新しい役割を担っている。今後は制度の悪用防止に留意しながら、出向者の希望による転籍を制度として後押しできるようにすべき」「産業雇用安定センターは、民間とも連携し、求職情報などをデータ共有できる仕組みづくりをしてくことが重要となる」旨、意見を述べました。
その後、田村議員は、村上参考人に対し、「雇用保険法改正に関してこれまでのプロセスで感じた課題」と、「地方に設置される職業訓練に関する協議会における現時点での課題」について質疑を行いました。田村議員の質疑に対し、村上参考人は「労働政策審議会は公労使の三者が協議し、決定するというプロセスが重要。今回の雇用保険法改正、とりわけ求職者給付の国庫負担見直しなどについては、それが軽視されているように感じる。働く者のセーフティネットの確保の観点から、今後も是正を求めていきたい」「職業訓練に関する協議会においては、地方ごとにさまざまな課題を議論している。現在はとくに、DX(=デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術で人々の生活をより良いものへと変革すること)に関連したスキルレベルの設定などが課題。また、協議内容について、守秘情報と公開情報を区別し、可能な限り情報公開を進めるべき」旨の意見を述べました。