2022年11月16日、田村まみ組織内参議院議員は、消費者問題に関する特別委員会においてカスタマーハラスメント対策に関する質疑を行いました。
田村議員は2019年7月の第25回参議院議員選挙での当選以来、一貫して消費者問題に関する特別委員会に所属し、働く仲間を悪質クレーム行為等のカスタマーハラスメントから守る対策の確立に力を注いでいます。
河野太郎大臣の答弁に対して、真剣に耳を傾ける田村まみ議員(右)
”カスタマーハラスメント問題についてさらなる理解促進を”
カスタマーハラスメントに関する質疑の冒頭、田村議員は、勤務していたスーパーマーケットの店舗で、商品の表示に関し、顧客から大声で長時間の叱責を受けた、という自身の体験談を交えながら、「カスタマーハラスメント行為から従業員を守ることも重要だが、一方でこのような行為は他の消費者を委縮させるといった面もあり、消費者庁としてもしっかりと対応する必要がある」と訴えました。
その後、田村議員は、本年2月に厚生労働省が作成した『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』に言及。本マニュアルのなかで、暴行や威嚇、脅迫などの行為が発生した場合、事業者の対応として「警察への通報」等の措置を講じるといった記載があることを取り上げました。
そのうえで、警察庁に対して「警察庁は本マニュアルの策定に当たり開催されていた関係省庁連絡会議にもオブザーバーとして参加していたが、カスタマーハラスメントについて、各都道府県警察などの現場にはどのように周知を行っているのか。また、実際に店舗などから通報があり、カスタマーハラスメント行為が強く疑われる場合、現場ではどのような対応が行われているのか」と質疑を行いました。
これに対し、警察庁の友井昌宏審議官は「警察庁から各都道府県警察に対して、相談内容に応じて関係する部署が連携して対応すること、相談者の不安等を解消する措置を講じることなどを指導している。各都道府県警察では、相談に対応する職員への研修などを実施している。また、実際に通報があった場合は、刑罰法令に抵触する行為があった場合も含め、個別の事案に応じて適切に対応を行っている」と答弁を行いました。
この答弁を受けて、田村議員は「本マニュアルが公表されたあと、実際に通報事案を対応した警察官から店舗の従業員に対し、『接客業だから仕方ないのであなたが謝ってください』と告げられたなど、適切に対応されていないと思われる相談がいくつか寄せられている。これらのことからも、カスタマーハラスメント問題に関し、まだまだ周知が足りていないと思うので、引き続き各都道府県警察への指導や周知をしてほしい」と訴えました。
『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』とは、2022年2月25日に厚生労働省が公開した企業向けマニュアル。本マニュアルの策定に当たっては、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、法務省、消費者庁、警察庁で構成される関係省庁連携会議が開催され、UAゼンセンもヒアリングや資料提供などで協力した。
”消費者教育でカスタマーハラスメントの周知を”
続いて田村議員は、カスタマーハラスメントが発生する原因の一つとして、社会のなかに『お金を払っている方が偉い』『客商売だったらガマンして当然』といった認識が根強く残っているという点を指摘しました。
加えて、「カスタマーハラスメントに該当する行為は、私が勤めていた小売り店舗だけではなく、医療や福祉の現場、公共交通機関、郵便局や役所の窓口などさまざまな場面で、ささいなことをきっかけに発生している」と現場の実態に言及し、「消費者全体にカスタマーハラスメントに関する知識を浸透させるため、消費者教育推進の基本方針にカスタマーハラスメント問題を早期に盛り込んでほしい」と要請しました。
田村議員の要請に対し、河野太郎消費者及び食品安全担当大臣は、「消費者が事業者に意見を言うことは重要だと認識している。一方で、ご指摘のカスタマーハラスメントに該当するような行為について対応が必要ということも理解している。本年度中に消費者教育推進に関する基本方針の見直しを行うので、議論の場である消費者教育推進会議にご指摘の点を盛り込み、議論していただきたいと思っている」旨、答弁を行いました。
最後に、田村議員は「消費者と事業者のどちらか一方でなく、双方がともに尊重される社会を目ざしていただきたい」と質疑を締めくくりました。