繊維産業の可能性と魅力を再確認(UAゼンセン製造産業部門)

UAゼンセン製造産業部門は2月20日、「繊維産業シンポジウム」を全日通霞が関ビルで開催し、加盟組合労使、業界団体関係者など119名が参加しました。

2010年に策定した繊維産業政策を、社会の変化に合った内容にするために2017年から見直しを行い、昨年9月に確認しました。それを受け、本シンポジウムは3年ぶりの開催となりました。改定した政策の柱である「繊維の魅力を明日へと紡ぐ」をテーマに、繊維産業の魅力向上へ向けた4つの取り組みを聞きました。

最初に、信州大学繊維学部の玉田靖教授が講演を行い、繊維関連企業との共同研究や、繊維業界で活躍できる人材やリーダを育成するための教育プログラムについて紹介しました。
次に、石川県産業政策課の中富大輔課長が、地域の繊維産業、とくに中小企業の状況を報告。人手不足が深刻な問題となっているなか、地域産業を活性化させるための取り組みについて語りました。
経済産業省生活製品課の杉浦宏美課長は、「繊維産業は生活の質の向上に貢献する産業として新しい『価値』を提供できる高いポテンシャルを持っている」と述べ、日本とEU間の関税撤廃の好機を利用し、海外で市場を展開すべきと提言しました。
続いて、ミツフジの三寺歩代表取締役社長が講演を行い、導電性繊維をセンサーとして衣料に編み込み、生体情報を検出するウェアラブル(身に付ける)事業を、IT企業と用途展開している事例を紹介しました。「例えば病気の予防や予知などの社会課題の解決につなげていくことができる」と語りました。その経験をふまえ、「企業の大小に関係なくお互いの強みを共有することで、これからは『競争』ではなく『協調』の時代になり、業界の垣根がなくなる」と述べました。

最後に、繊維産業政策改定のプロジェクトリーダーを務めた青木俊一片倉労働組合委員長、玉田氏、中富氏、三寺氏によるパネルディスカッションを展開。「繊維産業の魅力の向上」と「向上のための人材力」について意見を交わしました。そのなかで、「学生は繊維が持つ可能性に期待を抱いている」「衣食住に関わる繊維産業はなくならず、IT産業はそこに魅力を感じている」「取引先に頼るのではなく、みずから売り込む経営戦略が大事で、繊維産業には中小企業でもそれを可能にする技術力がある」「人の能力は、自分自身や他人が制限しなければなんにでも対応できる」など、数々の前向きなが意見が上がりました。
繊維産業は世界的に見ると成長が見込まれています。それに応える、日本の繊維産業の高いポテンシャルと魅力を再認識することができました。

以上

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