”実質賃金上昇の定着を目ざして賃金闘争を展開”
2026労働条件闘争に関する質問に答える永島会長
2025年12月4日、UAゼンセンは2026労働条件闘争に関する記者会見を実施。報道関係者等19社24名の出席のもと、2026労働条件闘争方針案を中心に説明を行いました。
冒頭、永島智子会長は「2026年の賃上げについて、3年連続で5%台に乗るか否かが社会の注目を集めている。一方、働く者の生活に直結する実質賃金は2022年度から3年連続で下落が続いている。私達は、2026賃金闘争において、実質賃金の下落に歯止めをかけ、反転させる必要がある。好調な企業業績にも関わらず、実質賃金が下落を続けていることは異常事態と言わざるを得ない。これをふまえ、2026闘争で掲げた『実質賃金1%程度の上昇を日本全体に定着させる』ことに全力を尽くす。また、最低賃金の持続的な引き上げや労働時間短縮にも継続して取り組む。加えて、『年収の壁』解消やキャリア形成支援などの取り組みを進めるとともに、3月中の労働条件交渉、解決の機運を高めるため、統一闘争における加盟組合支援を強化する」と述べました。
続いて、西尾多聞書記長が2026労働条件闘争方針案の内容を説明。西尾書記長は「組合員の生活向上には、実質賃金1%程度の上昇を定着させることが不可欠であり、加盟組合に対する個別的支援の強化や賃上げ環境の整備に資する政策・制度要求の実施をつうじて、これを勝ち取っていきたい。これをふまえ、2026賃金闘争において、正社員組合員は賃金体系が維持されている組合では、賃金体系維持分に加えて4%、賃金体系が維持されていない組合は、賃金体系維持分を含め6%に、格差是正分として1%程度を加えて賃金を引き上げることとする。また、要求額としては、賃金体系維持分に加え1万3500円、賃金体系が維持されていない組合は1万8000円に達するように積極的に取り組む。また、短時間組合員については、制度昇給分に加え65円、5%基準で引き上げるとし、制度昇給分が明確でない場合は、制度昇給分を含めて85円、7%基準で引き上げるという要求基準を掲げている」と提起しました。
また、製造産業部門の直塚政之部門長(ユニチカ労働組合)が第6回となる「価格転嫁の状況に関する調査」(本年7~9月、加盟組合を対象に実施)の結果について説明を行いました。継続的な賃上げには適切な価格転嫁が不可欠であることをふまえ、さまざまな価格転嫁に関する調査結果を示しました。直塚部門長は、「過去3年間で価格転嫁の状況は一定程度進んだことが明らかになったものの、コストアップ分をすべて価格転嫁できている企業は、今回調査でも2割に満たず、十分な状況ではない。とくに労務費の価格転嫁の進展が遅い」と指摘。「立場の弱い中小企業が取引先に対して価格交渉を行うことは容易ではないという声がいまだに多い。サプライチェーン内での公正な利益配分は産業全体の発展にとって重要であり、根強い商習慣に対する意識改革など、さらなる取り組み強化が必要」と強調しました。
※2026労働条件闘争方針は、同日開催(2025年12月4日)の第3回中央執行委員会で執行部案を確認し、来年1月22日の第14回中央委員会で機関決定します。