腰の痛み 見逃さないで!
女性は子宮頸がん、骨粗鬆症の可能性も
腰痛は一生のうち一度は体験する症状と言われています。
整形外科系の病気だけでなく原因は多くあるため、腰の痛み以外の症状もないか注意を払う必要があります。
整形外科系のほかに婦人科系の病気でも、
消化器など腹部臓器からの原因でも腰痛がおこることがあります
2013年の調査によると、日本人の一生で腰痛は約10人に8.3人が経験し、腰痛で社会活動を休んだ人は2.5人となっています。
若い方から年配まで、世代関係なく悩まれる方が多い症状です。
とくに中高年になると、変形性腰椎症・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・変形性股関節症・腰椎すべり症など骨の並びや関節疾患が腰痛の原因になることが多いといえます。
そのほか稀ではありますが、化膿性脊椎炎などの感染症なども考えなければなりません。
整形外科系以外の病気では、まず腰部近辺にある臓器の病気があげられます。
解離性大動脈瘤など血管の病気、尿管結石など泌尿器の病気、胆嚢炎などの消化器の病気です。
そのほかに転移がん、精神疾患・ストレスなどの心理的な原因による場合もあります。
女性で注意していただきたいのは、子宮頸がん、子宮筋腫など婦人科の病気で、腰痛は重要な症状のひとつです。
また、最近話題になっていて、困っている方が増えている骨粗鬆症でも腰痛が起こることがあり、いずれは腰椎圧迫骨折を引き起こし体動困難になる可能性があります。
さまざまな病気で腰痛は起こりますが、症状が出た原因、痛みの出方、痛みの鋭さ、しびれなどの違和感、足の力が入りにくい、局所や体温が熱いなど問診や触診などで原因がわかることも多いですが、きちんと診断を確定して治療を始めることが大事になってきます。
そのためには、レントゲン検査、CT、MRIなど画像検査のほか、血液検査、尿検査、ABI(足関節上腕血圧比)などをする必要があります。
なかなか治らない腰痛は、早めに整形外科や婦人科などの医療機関を受診して治療方針を立ててもらいましょう。
田辺知宏
医療法人社団協友会 東川口病院院長